みぞの鏡 ページ3
それはクリスマス休暇が、終わりを告げようとした前日のことだった。
「鏡に？」
「うん。僕の両親が映っていたんだ。ロンにも見せたんだけど、全く違う光景が見えるって」
だから君にも見て欲しいんだとハリーは言った。
場所は図書室の閲覧禁止の棚の、更に奥まった場所にあるのだと言う。
Aは気になったので、ハリーの誘いを受けることにした。
クリスマスに贈られて来たという、ハリーの透明マントを被って、その鏡がある場所までやって来た。
ハリーの言われた場所に立ち、鏡を見ると……。
Aの後ろに、兄である慎二と、自分にとっては父親同然である、言峰綺礼が立っていた。
「えっ、こ、これ……」
「見えるだろう、僕の両親が！」
Aの戸惑いを、彼の両親が見えたからだと思ったのか、ハリーは嬉しそうに声を掛けた。
件のAは、そんなハリーに目を向けず、鏡に手を伸ばそうと……。
「そこまでじゃよ」
Aは、ハッとして声の主を見る。
部屋の入り口に、ダンブルドアが立っていた。
「ダンブルドア先生」
「ハリーにA、ようこの部屋を見つけたの」
「あ、Aはただ、僕が誘って」
ハリーは叱られると思ったのか、慌てて言った。
ダンブルドアはそうじゃないと首を振る。
「よく見つけた、と感心しているのじゃ。叱りはせんよ」
ダンブルドアの言葉に、ハリーはホッと息を吐く。
Aは気になってダンブルドアに聞いた。
「先生、この鏡は？」
「みぞの鏡、というものじゃ。自分の望む物を映し出す鏡じゃ」
「自分の望む物……」
Aは、右手で自身の髪の先を弄りながら考える。
ハリーが自身の両親を見て、ロンやAに見せた。
だが自分とロンが見たものは、全くの別物。
つまりこの鏡は……。
「身の破滅、もあるんですよね？ ダンブルドア先生」
「理解が早いのう。そうじゃ。望む物を得ようと、この鏡を見て身を破滅した者もいる」
ダンブルドアは、最後に明日からはこの鏡を別の場所に移す予定じゃと言った。
「くれぐれも、この鏡を探そうとは思わぬ様に。
分かったかの？」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 56人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：カフェラテ | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/shazam03271/
作成日時：2020年9月5日 10時
