これからは(最終話 ページ27
「マセル、何処行ってたの？」
「ちょっと、マトウに挨拶して来たのよ」
駆け寄って来た友人であるジルに、マセルはにっこり笑う。
ジルにはマセルが、彼女をこの世界に送り込んだ神様だと言うのは、既に話している。
「あの子、悔しがってたんじゃない？ 神様が隣にいるって、当に夢小説の最強夢主じゃん」
「あまり油断しないでよ、ジル」
マセルは興奮するジルを窘める。いくら神様と言う自分がいるとはいえ、油断は禁物。
特別な能力を持った敵が、強さも無い主人公及び主人公を守る人物達に追い詰められ、滅ぼされるのはよくある。
だから楽観などしてはいけない。
「大丈夫よ、マセル。夢主あるあるぶっ込んだ私に、神様である貴女がいれば最強じゃない！
例のあの人なんか目じゃないわ！
最強夢主はね、微笑むだけで相手を威圧させる事出来るんだから！！」
マセルの忠告すら臆さないジルを見て、彼女は心配していた自分が馬鹿みたいだと思う。
ジルの言う通り、自分達は最強なんだ。
ニマッとマセルは笑い、ジルに言う。
「そうよね。私達は最強なんだから。
マトウや魔術関係の人間は、敵なんかじゃないわ」
これから私達は、邪魔する人間を駆除してゆく。
待ってなさい、マトウ・A！ 必ずアンタを駆逐してやるわ！
「ん？」
「どうかしたのか、グランドキャスター」
ベルリンにある自宅で、書類の整理をしていたアーラスはとある人物に声を掛ける。
その人物は窓に背を預け、先程までアーラスの書類の整理を傍観していたのだ。
グランドキャスター−−もとい、アズール・アーシェングロットは、ほくそ笑む。
「いやな、私の天敵が遂に下界に君臨したらしい」
「ほう？ その人物は、もしかしなくても」
「ああ、私の故郷及び大切な人達を滅ぼした張本人、マセル・シェルフィーだ」
アズールは誰が見ても背筋を震え上がらせる様な、氷の微笑を浮かべたのだった。
その道の先へ−−謎のプリンス� �完
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作者名：カフェラテ | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/shazam03271/
作成日時：2021年10月19日 17時
