その道の先へ－謎のプリンス① (ページ26)

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マセル・シェルフィーページ26

「貴女が、A・マトウよね」

あれからハリーと話す機会も無いまま、ホグワーツは冬休み休暇に入る直前になっていた。

授業が終わり寮に帰ろうとした途中で、Aは黒髪の少女に声を掛けられたのだ。

見覚えない相手に、Aはどちら様でしょうか？と疑問を投げる。

「私の名前は、マセル・シェルフィー。ほら、覚えてるでしょう？
私が貴女の記憶を見せつけた」

「もしかして、ジルをこの世界に送り出した神様、ですか」

湧き上がる怒りを抑えつける様に、彼女は拳を握り締めながら真顔で問い掛ける。

マセルはそうよ、と頷く。

「神様である私が、名前を変えて人間として現界したの。
もちろん私が現界した直後に、皆んなの記憶は元々私がいたと刻まれているわ。
貴女や魔術に縁のある人間には、認識はされていないけれど」

マセルは得意げに、そう語る。

「でも何故ですか？神様である貴女が現界なんて」

「ジルに協力するつもりだから、よ。人間となってもね、私の力は衰えていないの。
それすら、目の前にいる例のあの人を跪かせる程にね」

ニコッと見たくもない笑みを浮かべながら言い放ち、マセルはまた会いましょうねと手を振って、離れて行く。

残されたAは、遠くのざわつきを聞きながら、また厄介な人物が介入して来たと思わざるを得なかった。