幕間ー似た者同士 ページ25
「やはり、無駄だったか」
スネイプはドラコとの会話の後、しずしずと肩を落として去って行くAを見て呟いた。
ドラコがこのパーティに来るであろう事は、スネイプは予期していた。
ので、こうして会場まで足を運んだのだが。
会場に入ろうとしたドラコを止める目的も無くなった為、スネイプは離れようとしたその時。
「彼女に期待し過ぎじゃないですか」
「ふん、ウィリアムか」
背後から声を掛けられ、スネイプは嫌そうに顔を顰めながら振り向く。
そんな反応に物怖じせず、ウィリアムは言い募る。
「貴方が期待する程、Aは強くありませんよ」
「期待してなどいない。ただ約束したからな。
あやつがドラコを助けると」
「Aが貴方と言うクソ野郎と、約束したのですか？
ふふ、面白い冗談ですね」
「貴様は何故我輩をそこまで嫌う？ 確かに我輩は、魔術協会なる所を襲い、人を攫った。
しかし、我輩と貴様は似た者同士、だろう？
大切な人を失った……」
ところとか、と言い掛け、スネイプは息を飲む。
微笑みを讃えていながらも、背後からは冷たいオーラの様なものが見えたからだ。
ウィリアムは微笑んでいるが、怒っている。それも、静かな厳かな怒りだ。
「何です？ 続けて下さいよ」
「いや、その……」
「僕と貴方が似ている？ そんな事ありませんよ。
僕は目の前で、弟が辱められたんですよ。
でも声は出さなかった。出せば出すほど、相手を喜ばせるだけだから。
結局、弟のルイは命を落とした。
弟の次は、この僕だった」
相手の手が、ウィリアムに触れそうになった時に、魔力が暴走し、周りにいた者共を屠り去った。
魔力の使い果たしで倒れていたところを今の主人である、アルバートに拾われた。
衝撃なウィリアムの告白を聞き、スネイプは唖然とする。
ウィリアムが大切な人を失っていると言う経緯は、ダンブルドアから聞いていた。
だが、どういった事でとは聞いていない。
「だから」
ウィリアムの微笑みは消え、代わりに氷の如く冷たい目で、スネイプを射抜く。
あまりの迫力に、スネイプは動く事すら出来ない。
「勝手に似ているなんて、ほざくな」
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作者名：カフェラテ | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/shazam03271/
作成日時：2021年10月19日 17時
