貴女は ページ13
「どうしてそれを？」
驚きに目を見張るAの前で、ウィリアムは杖を取り出し、守護霊の呪文を行使する。
杖から出て来たのは……。
「貴女は、あの時の」
「覚えていらっしゃいましたか。そうです、私は貴女を魔法省まで乗せた、ペガサスのアナと言います」
アナと名乗ったウィリアムの守護霊は、空中に浮きながら器用に頭を下げる。
アナは紛れもなく、あの時魔法省まで運んでくれたペガサスだった。
道理でAにしか擦り寄らなかった筈だ。
「守護霊のアナに、様子を見に行って貰っていたんだ。スネイプの初授業……つまり、君に何か危害を加えないか心配でね」
「わざわざそこまでしなくても。
でも心配してくれてたんですね」
再びありがとうございます、と頭を下げた後、彼女はところでと続ける。
「ウィリアム先生の守護霊も、喋るんですね。
実体化も可能ですし」
「君の守護霊もそうだね。やはり、魔法の素質や才が関係しているのだろう。
他にこの様な守護霊は、君や僕を除いていないからね」
ウィリアムがもういいよ、と目配せすると、アナは彼に嘶きそしてAに言った。
「坊ちゃんをよろしくお願い致します」
その言葉を最後に、アナは姿を消した。
ウィリアムとのひと時を過ごし、そろそろコーヒーカップが空になった頃、彼女は席を立とうとした。
午後の授業が始まるからだ。空腹ではなかったので、彼から頂いたクッキーでこのまま授業は熟せそうである。
「じゃあ、私はそろそろ」
「待って、A。この冬休み、何か予定はある？」
予定、ですかと彼女は首を傾げる。
特に無い筈だ。自宅に帰省しても、勉強だけで特に大きな所用は無かった気がする。
予定は空いてます、と彼女が告げると、ウィリアムは「なら、聖堂協会の責任者に会わないか？」と問い掛けられた。
「聖堂協会の責任者？」
「責任者……アーラス・アーシェングロットは君に興味を抱いていてね。
是非1度会ってみたいと」
勿論強制はしないよ、と彼は付け加えた。
その問いに、彼女は。
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作者名：カフェラテ | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/shazam03271/
作成日時：2021年10月19日 17時
