その道の先へ－炎のゴブレット① (ページ9)

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禁じられた魔法ページ9

取り巻き達と去り行くチョウと言う人を見送り、1限目の授業を終え、Aは防衛術の教室に向かっていた。

防衛術の教室に着くと、丁度授業を終えたハリー達と出くわした。

「ハリー」

「あ、A。久しぶりだね」

「手紙で読んだんですけど、あの後大丈夫でしたか？闇の印を見たって」

「大丈夫とは言えないわ。傷が痛むものね、ハリー」

ハーマイオニーが言葉を引き継ぐと、ハリーはそうなんだと頷く。

ハリーにある額の傷は、例のあの人に付けられたものである為、その事に関する出来事が起こり得ると痛むのだ。

ハリーが何か言いたそうに、Aを見ていたがロンに急かされて、ハーマイオニーとその場を離れて行った。

防衛術の授業は、これまでのものよりもかなり特殊だった。

不気味な容姿を持つ防衛術の担当である、アラスタ・ムーディーは魔法界で危険な呪文を教えると言った。

1つは人を操る呪文、2つ目は人を苦しめる呪文……。

そして最後は、あのハリーが受けて生き残った死の呪文だ。

ムーディーはそれぞれの呪文を、蜘蛛を実験台にして皆んなに見せた。

もがき苦しむ蜘蛛を見て、皆が口を噤んで事の成り行きを見ていた。

最後の死の呪文で、Aは何故か間近で見るよう言われた。

「あの……」

「とある生徒から聞いたのだが、君は少し特殊な体質をしているらしいな」

そのとある生徒が気になったが、Aは別にと首を振る。

「私は別に」

「まぁ、どっちでもいい。お前だけには近くで見せてやろう……アバダ・ケダブラ」

Aは緑の閃光を見て、たちまちとある記憶がフラッシュバックした。

しかしそれはノイズが掛けられていて、記憶とは言い難い。

だがノイズの中、垣間見えた記憶で……。

1人の血を流した男性が、1人の少女に凭れ掛かっていた。

少女は呆然とその男性を、手が血に塗れるのにも構わず抱きしめている。

これは……この記憶は何なの？それに男性の方は上手く認識出来ないが、少女はどう見てもまだ小さかったAだ。

倒れている男性を思い出そうとするが、軽い頭痛がAを襲う。

思い出す事を拒んでいるのだ。

一体何故？

頭痛がした頭を摩ると同時に、誰かに肩を掴まれAは現実に引き戻された。

「あっ……」

「何だ、お前。大丈夫か？」

ムーディーがジッと何処か不気味に、Aを覗き込んでくる。

Aは既に死に絶えた蜘蛛を見下ろしながら、大丈夫ですと呟いた。