その道の先へ－炎のゴブレット① (ページ35)

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番外編ー情の余地などページ35

「コヤンスカヤ、ひとつだけ聞きたい事がある」

「何かしら？」

薔薇園での話の続きをスネイプの部屋でする為、彼ら共々はその場所へと向かっていた。

先頭を堂々と歩くコヤンスカヤに、スネイプは問い掛ける。

カルカロフは2人の後ろを歩いていた。

「君は何故そんなにも、我輩を嫌う？」

「あのクソスーパーに、何か吹き込まれたの？
貴方を嫌う奴は可笑しいだとか」

「そうではないが」

事実スネイプはジルに、貴方を嫌う人は可笑しいと言われた事がある。

しかしここでコヤンスカヤに言う事は控えた。

何故ここまでスネイプを嫌うのか知りたかったからだ。

「我輩は自分の性格を承知してはいる。嫌われても致し方ない。
だが……」

「性格がどうこうじゃない。要は生き方よ」

生き方か？とスネイプは疑問を投げかける。

コヤンスカヤは歩みを止めずに、

「貴方は数ある選択肢のある生き方から、嫌われ役と言う生き方を選んだ。
それは大いに結構よ。でも、自分が選んだ生き方に不満がある、貴方が嫌いなのよ。
ああすればこうすれば、我輩はこうならずに済んだのに、とか不平不満ばかり垂れて……見てて嫌になるわ」

「しかし、貴様も」

「いい？」

コヤンスカヤは歩みを止めて、スネイプを振り返った。

「貴方の悲惨な過去と私の過去とを一緒にしないで。少なくとも私は、両親の死に自分に責任はあると感じていても、今の生き方を嘆きはしていない。
貴方みたいに誰かに同情なんて求めたりしていない」

「……ッ」

「これが貴方を嫌う理由。一応言っておくけど、あのリリーも私は嫌いだった。
貴方を見捨てて、あの最低な男を選んだ女なんて好きなれる筈がない」

コヤンスカヤはスネイプを最後に肯定する様な言葉を残し、再び歩みを進める。

最低な男－－恐らくそれは、あのハリーの父親だろうが。

その点については承諾出来る、しかし。

「リリーを嫌うのは間違っているぞ、コヤンスカヤ」

スネイプはカルカロフをひと睨みし、再びコヤンスカヤの後を追った。

睨み付けられたカルカロフは、スネイプが部屋に入るまで追っては来なかった。