その道の先へ－炎のゴブレット① (ページ27)

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ジルの思惑は事を運ばずページ27

＊夢主視点ではありません。

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とうとう来たわね、この時が！

私はいつもとは違うホグワーツの煌びやかな様相を見て、目を輝かせた。

ハリー・ポッターの夢小説の夢主なら、1番楽しみであろうイベントだ。

でも可哀想よね、あの女。

A・マトウ、私はあの女にダンスパートナーにする様にスネイプに言った。

理由はあの女が、自分と同じ様に目的の相手と踊れて幸せを感じるなんて、吐き気がしたからだ。

だから私はスネイプを夢小説の夢主の様に、ダンスパートナーにしなかった。

Aが私と同じく違う世界から来た事を、薄々感じてはいた。

だってハリー・ポッターの登場人物にもいなかったし、おまけに英霊なんかを従えているような人物なんていないし。

でも来た世界は自分とは全く違う世界だ。

同じ世界から来たなら、スネイプを好きになるはずだしね。

スネイプみたいな良い人を嫌いになるなんて、あり得ないし。

この調子であの女から大切なものを奪う。

あの女が大切に想っているであろう、言峰綺礼も。

これから来るであろうAの表情を思い浮かべてほくそ笑む。

「あの、お綺麗ですね」

妄想に酔い痴れていると、1人の少年が声を掛けて来た。

見たところ自分より1個下のようだ。

私は笑顔を作りそうかしらと言いながら、自分の真っピンクなドレスを見下ろす。

少年が赤い顔をしながら頷くのを見て、私は心の中で嘲りな笑みを向ける。

やっぱりチョロいわね。スネイプも夢主を取り巻いている異性も、相手が欲しいであろう言葉を向けたら皆んな夢主に夢中になるもの。

あのスネイプも、大切なリリーなんか忘れて夢主に夢中になるくらいだし……ああ、早く言峰綺礼がいる世界に行き、あの人をも！

少年と他愛もない話をしていると、突如私の耳に「何あれ！」と悲鳴染みた声を聞いた。

私はほくそ笑みながら、声のした方を見る。

そうきっと、Aが絶望の表情をしながらスネイプと歩いているのを見て、誰かが悲鳴をあげたのを信じて。

しかし、そこには予想外な光景が広がっていた。

私は自身の目的でさえも忘れる程、それに皆んなと一緒に魅入っていた。

大広間の隣にある階段から、青い髪をヒラリとたなびかせながら降りて来る、美しい女がいる。

皆はその女を見て、悲鳴(歓喜の混じった)をあげていたのだ。

その女がAである事に、私は分かってはいたが。

上手く行かない。