似ているから ページ21
「あの、A・マトウですよね？」
「はい、そうですけど」
身に覚えの無い男子生徒に声を掛けられ、Aは少し警戒心を露わに返事をする。
男子生徒は「スネイプ先生が呼んでいます」とだけ言って、その場を立ち去って行く。
残された彼女はキョトンとしながら、その男子生徒を見送った。
私に用事って、何かしら？
彼女はスネイプの研究室に着くまで、その事ばかりが頭に浮かんだ。
真っ先に呼ばれた理由が頭に浮かんだのは、ハーマイオニーとの1件。
だがあの後は、特に話し掛けても来なかった為、もう蟠りは無いと思っていたが。
何であれその話なら、Aは素直に謝ろうと思った。
Aにも行き過ぎた発言もあったものだし……。
「スネイプ先生、呼ばれて来ました」
「入りたまえ」
ドアをノックすると、スネイプからそんな声が掛かった。
失礼しますと言いながら入ると、スネイプは自身が使っている机を背にして立っていた。
Aが入って来るのを見届けるなり、スネイプは杖を取り出してドアを閉める。
「なっ！？」
彼女がドアを開けようとするが、呪文をかけたのかビクともしなかった。
恐る恐るスネイプを振り返ると、彼は薄ら笑いを浮かべながら言い放つ。
「我輩の意見を飲めば、ここから出してやる」
「意見って……まさかハーマイオニーの」
「あの時とは全く関係無い。我輩は、ただ貴様をダンスのパートナーとしたいだけだ」
予想外のスネイプの申し出に、Aは面食らう。
だが一体、何故？
「どうして私を……」
「貴様と我輩の想い人であったリリーと似ているからだ」
まただ。また誰かと似ているから、だ。
コヤンスカヤにもアインツベルンと似ていると言われ、スネイプからもリリーに似ていると……。
アインツベルンはまだどんな人かは分からないから兎も角、リリーは。
「私が彼女と似ているとは、跳んだ思い違いですよ。
私は赤毛じゃ」
「確かに外見は違うだろう。
しかし、優しさと厳しさを兼ね備えた貴様は、確かにリリーに似ている」
スネイプがAに、1歩距離を詰める。Aがそれに合わせて後退すると、ドアにぶつかった。
しまったと思ったが、Aに逃げ場はない。
スネイプは暗い瞳で彼女を見つめ、我輩の意見を受け入れるかと問い掛けてきた。
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作者名：カフェラテ | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/shazam03271/
作成日時：2021年3月30日 12時
