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008. ページ10

「……てなワケで、アイツらの仲を取り持って やりたいんだよ」



お前も協力してくれないか?とシノに頼まれ、フロイドは複雑そうな顔をした。


協力すると言っても、具体的に何をしてやれば いいのか判らない。



「お前が知ってることを教えてくれるだけでいいさ。
 ……そうだな、好きなタイプ、とか?」


「うーん…… あ、ジェイドは尾びれ好きだよ。オレは胸びれ派だけど」


「すまん、人魚基準のフェティシズムじゃ 全く わからん」



えー、とフロイドは唇を尖らせた。


雄なら誰だって胸びれ好きでしょ、と ぼやくが、そういうこと ではないのだ。



「後はぁ…… キノコとか?」


「キノコ?」


「そ。なんか去年から『山を愛する会』なんて立ち上げてさ、山 登ってはキノコとか山菜とか持って帰ってくんの。」



マジで勘弁して欲しいんだけど、と彼は渋い顔をする。


二週間 連続で キノコ料理を出された傷は、まだ癒えていないらしい。



一方で、それは いいことを聞いた、とシノはスマホを取り出した。


メッセージアプリを開いて 連絡先からコニーを探し、



《有力情報ゲット》


《ジェイドは「山を愛する会」に所属してるんだと》



メッセージを送信するなり、秒速で既読が付く。


そして、返信の代わりに「グッジョブ!!」とスタンプが返ってきたのだった。



*


その日の放課後、6限終了のベルが鳴るなり、コニーは自分の教室を飛び出した。


目的地は、もちろん2年E組である。



緊張の余り 膝が震え、無意識のうちに呼吸が浅くなる。


怖じ気づく己を奮い立たせ、まるで普段と変わらないような 声色を装った彼女は、



「……ジェイド・リーチさんは いらっしゃるかしら。」



側にいた生徒に声をかけ、ジェイドを呼び出してもらう。


まずは第一関門 突破だ。


冷えた汗が滲む手で、コニーはスカートの裾を ぎゅっと握り締めた。



「……おや、貴女は先日の。僕に何か ご用ですか?」


「ひぇっ……」



ひょい、と真上から自分を見下ろしたジェイドに、コニーの喉から か細い悲鳴が零れる。


いざ本人を目の前にすると、覚悟も余裕も 何もかもが瓦解してしまいそうだ。


小刻みに震える太腿に爪を食い込ませ、跳ね上がる鼓動を押さえ付けて、彼女は切り出した。



「あ、あの、私っ…… や、『山を愛する会』に、興味が、あって……!」

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作品ジャンル:ラブコメ
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茨の國のぼっち(プロフ) - フォントから、ユニーク魔法から、文章から、全てにおいてセンスが良さすぎます!前章に引き続き、この章も楽しく読ませていただきました! (2021年1月17日 1時) (レス) id: 9a68fed22a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:擂糸 | 作成日時:2020年9月27日 12時

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