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昼食を求める生徒たちで ごった返す、正午の大食堂。
コニーは いつもの如く、ハンバーグのプレートに人参のグラッセと ほうれん草のソテーだけを食べ残していた。
またか、とアンナは ため息を吐く。
生粋の野菜嫌いのコニーは、ほとんどの野菜が食べられないのだ。
もう この年になってしまえば 矯正も難しいだろう、とアンナは半ば諦めていた。
ところが、今日は違った。
野菜の残る皿を 黙って覗き込んでいたコニーは、決意を固めたかのように短く息を吸った。
そして、何と 人参も ほうれん草も まとめて、一息に自分の口の中に押し込んでしまったのである。
彼女は 野菜を噛み締めながら 目を白黒させていたが、やがて ごくん、と それを飲み込んでみせた。
「あのコニーさんが…… カボチャ以外の野菜を食べてる……！？」
アンナは、思わず自らのフォークを かちゃり、と取り落とした。
人参など、細かく刻んでも 擂り潰しても 頑なに食べようとしなかったのに。
もはや、驚きを通り越して恐怖すら感じる。
明日は槍でも降ってきや しないだろうか。
「あなた、さてはコニーさんじゃないでしょう」
「本物のコニーを どこにやった！？」
「な、何よ 急に……」
大盛りのパスタを一口で飲み干したシノも、口の周りのミートソースを拭いながら アンナと一緒に詰め寄る。
「本物のコニーは 自分から野菜なんか食うもんか！」
「失礼ね、人が せっかく好き嫌いを克服しようと してるのに！」
克服。
その二文字がコニーの口から紡がれると同時に、シノとアンナに ピシャーンッ！と稲妻が走った。
二人で ひそひそと顔を寄せ合い、
「おい聞いたか、あのコニーが“好き嫌いを克服”だって！？」
「ええ、バッチリ聞きましたとも。
明日は いよいよ槍が降りそうです、今のうちに鋼鉄の傘を用意しておきましょう。」
「何なのよ、二人して！」
自らの努力を茶化されたコニーは、やや ご機嫌斜めである。
揶揄い半分だが、もう半分は素直に感心しているシノは、
「でも、何だって 急に野菜を克服しようと思ったんだ？」
とコニーに問う。
すると彼女は、徐ろにフォークとナイフを揃えて皿の上に置き、
「き、気になる人が、できたのよ……」
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茨の國のぼっち(プロフ) - フォントから、ユニーク魔法から、文章から、全てにおいてセンスが良さすぎます！前章に引き続き、この章も楽しく読ませていただきました！ (2021年1月17日 1時) (
レス) id: 9a68fed22a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：擂糸 | 作成日時：2020年9月27日 12時
