炭酸入りシトロナードの狂詩曲【twst】

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さて、10月も中旬である。


いよいよマジフト大会当日が近付き、生徒たちの熱狂っぷりも 佳境に差し掛かっている。


今年は 特に、大会前から怪我をして保健室詰めになる者が続出していた。



いくら何でも浮かれすぎだ、と教師陣は頭を痛めているが、もちろん この学園で起こった一連の事故に、何者かの悪意が絡んでいないわけがなかった。


学園対抗マジフト大会でNRCがRSAに99年連続で負け越しているのは、学園選抜メンバーが より確実に注目を浴びられるポジションを奪い合って内輪揉めを起こし、 肝心の試合前に疲弊しているから。


それは めっぽう有名な話だ。



だが 今年は、寮対抗の時点で擦り付け合いの泥仕合が勃発しているせいで、学園代表を選出できるかも危うい。


100年目の正直など、夢のまた夢だ。



そして、諸悪の根源たる『悪意の持ち主』の次なる標的に据えられたのは、



「ほらほら、オレからディスク奪ってみなよ！
　全員まとめてギューッて絞めてやるからさぁ！！」



昨年度オクタヴィネル寮代表として、片割れとの鮮やかな連携プレーを披露したフロイド・リーチだった。


箒に ぶら下がりながら暴走機関車のようにフィールドを飛び回る姿には、敵どころか味方プレイヤーまで逃げ腰になっている。



一見、物腰 柔らかく フロイドより控えめな印象を抱かれている 彼の双子の兄弟・ジェイドの方が狙われそうに思える。


が、彼は この事件の黒幕と同等か、はたまた それ以上に計算高く腹黒い。


罠に嵌めようにも、罠を仕掛けるだけの隙すら与えてくれないのだ。



高度な技術を有する割に警戒心が薄いフロイドが負傷すれば、それだけでオクタヴィネル代表の戦力は大きく削がれるだろう。



「フロイドくんには気の毒ッスけど……
　大会が終わるまで、保健室で おねんねしてて もらうッスよ！」



グラウンドで思うがままに暴れ回るフロイドを、虎視眈々と見つめる影が一つあった。

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