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021. ページ23

カレッジを卒業したら、どこか就職先を探して仕事に就くのだろう。


シノは そんな『フツー』の未来が自分に似合っているとは思わなかったが、かと言って なりたい自分の理想像があるわけではない。


ユニバーシティに進学してまで勉学に明け暮れたいとは思わないし、そんな学費もない。


就いてみたい、と思う職業も見つからない。



まるで手付かずの未来予想図を目の当たりにすると、彼女は自分が今 生きている意義だとか理由だとかまで疑い始め、萎縮してしまうのだった。



あたし、何のために生きてんのか わかんねーや。


焦燥と葛藤から、シノが消え入りそうな声で呟けば、



「……シャコちゃんの人生なんだから、生きる理由なんてシャコちゃんが見つければいいのに。

 オレだってアズールやジェイドと一緒にいられんなら、別にラウンジじゃなきゃヤダってわけじゃねーし」



なんか そういう、『こうだったらいいなー』みたいな ぼんやりした願望ねぇの? とフロイドが問う。


確かに、漠然とした理想なら 彼女にもあった。


だが、それが酷く稚拙なものだと自分で理解しているシノは、



「……笑わないか?」


「笑うわけねーじゃん、シャコちゃんの夢でしょ?」



そっか、と彼女はいつになく強張っていた表情を緩ませ、



「……『(うち)』が、欲しいな」


「『家』? 住みたい家があんの?」


「いや、そうじゃなくて…… なんて言えばいいかな、」



住居としての(いえ)ではなく、帰る場所としての(うち)が欲しい。


それが、進学先も就職先も何一つ見出せないシノが思い描く理想の未来だった。



何故、彼女は そんな ありきたりな ことを望むのだろう。


まさか、実家に帰りづらい事情でもあるのだろうか。


暴 力を受けているとか?


それとも、ちっとも子供を顧みない毒親でも待ち構えているのか。



シノの家庭環境について あれこれと邪推を重ねたフロイドは、



「あんまり話したくなかったら答えなくてもいいけどさ。


 ……シャコちゃんの家族って、どんな奴なの?」

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作品ジャンル:ラブコメ
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茨の國のぼっち(プロフ) - いいお話すぎます!シノが風邪ひいた時のお話、フロイド君が健気すぎて泣きました!控えめに言って最高です。もっと伸びろ〜! (2021年1月17日 0時) (レス) id: 9a68fed22a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:擂糸 | 作成日時:2020年8月18日 11時

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