ユンギがＢＴＳになるまで。 (ページ1)

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中3のとき、書いた曲で賞を取った。そこで、小さな芸能事務所に声を掛けられたのだけれど、何時の間にか俺の書いた曲は別の人間が書いたことになっていた。餓鬼で、力のない俺は文句も言えず逃げ出すことしかできなかった。

それでも諦めきれず。音楽の道へ進むため、その専攻のある高校へ進んだ。その当時は両親も応援してくれていて、俺の才能を信じてくれていた。高1の頃は、天才だ、こんな曲を書ける人間はいないと、学校中がもてはやしたけれど、高2になって著名な作曲家の息子が入学して、俺は潰された。曲を発表することすらできないような状況に幾度となく追い込まれた。

初めは書いた曲を破られた。譜面を大量に詰め込んだ唯一のパソコンに水を掛けられた。ベースとギターを壊された。終いに階段から落とされて、退院したころに、俺が今まで描いた曲はその著名な作曲家の息子の物を盗んだことになっていた。

目の前が真っ暗になって、学校に行けなくなった。行きたくないじゃない。行けなくなった。家の外から出ると呼吸ができない。誰も信用できなくなった。でも不幸風が吹くときには、畳みかけるように嵐が来るもので、両親に謝りに行こうと言われた。それが正直一番きた。あぁ、俺、親にも信用されてなかったんだったってなった。

俺を守ってくれるはずの家と言う大きな空間すらなかった事を知った。うまく飯が喉を通らなくなった。なんでこんなことをしたの。家の恥だ。そう叫ぶ母親の作ったものだと思うと、喉が受け付けない。でも外に出れないから、買いにも行けない。俺死ぬのかなって思った。

もう死にたいなって、思った。餓死を待つのも辛いくらい、本当に、いなくなってしまいたかった。だからカッターを持ち出した。無意味に流れる血を眺めて、世界は汚いと思った。正々堂々と言う言葉を使うくせに、無縁だと思った。

最終的に生き残るのは凡人だ。この世は天才は生き残れないようにできている。才を染めきるほどの、欲がこの世界には蔓延っている。９９％の凡人に、足と腕と首と目と鼻の先まで引っ張られたら、立っていられるわけがない。

一握りの運を持った凡人が天才を食って、さも自分に才能があるように演じるのだ。俺の書いた曲は、俺が生んだものなのだ。お前の物じゃない。たくさん曲を書けば、才能を示せば、認めてくれると思った。皆、俺を見ると思った。

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