21話 ページ23
はじの方で、団扇の紋を背中に背負った人々がボソリと話し出した。
「フガク様…次の火影はあなたしかいません」
「やめろ！……葬儀中だ」
「ですが……波風Aは義理とは言え父親が死んだと言うのに涙の１つも流さない。
四代目火影の程度が知れます」
フガクと呼ばれた男はじっと去ってていくAの背中を見つめていた。
「 わからんか……あの子は忍だ。
誰よりも耐えることがうまい…強い子だ」
それを聞いて、フガクの隣にいた少年__うちはイタチは言った。
「泣いてる。顔ではなくて…Aの心が」
「……行け。お前にしか、あの子は救えない」
もう姿が見えない少女の心の涙を拭うため、幼いイタチはその後を追いかけていった。
イタチはAを探し、森の中に入った。
いつも、Aと二人、忍術を練習している森だ。
たった一人の愛しい恋人だ……何をしているかは、手に取るようにわかる。
案の定、彼女はそこでひとり、泣いていた。
「A、」
声をかけると、驚き方を揺らして必死に涙をぬぐい出した。
そして、いつもと変わらない笑顔で振り向く。
「どうしたの、イタチ」
あまりの痛々しさに、イタチは何も答えず強く抱きしめた。
「泣いてくれ、A。……頼む」
「イタチ……私、私っ」
イタチの匂いと体温に安心し、張り詰めていたものが決壊した。
Aはもう何年も泣いていなかったが、まるで子供のように大声をあげて泣いた。
「守れなかった！あんなに……愛してくれたのに！
よそ者の私に…優しくしてくれたのに！」
「A……っA」
「私のせいだ…私に、力が無かったから！何のために私はここにいるの！？」
「A！！」
暴れて泣き叫ぶAに、イタチは抱きしめる力を強めて乱暴に口付けた。
「んっ………イタチ……」
「好きだ、A。好きだ。大好きだ。愛してる」
Aはいつのまにか叫ぶのをやめていた。
ぐすんぐすんとすすり泣きしながら、Aは小さな声で「わたしも」と返す。
まるで何も知らないような顔でサンサンと照りつける太陽の下、二人は言葉も交わさずいつまでも口づけ続けていた。
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紗菜 - 続き、待ってます。 (2022年12月13日 23時) (
レス) id: c2a2213ca9 (このIDを非表示/違反報告)
ﾜｽ - 応援してます(˘ω˘ ) (2022年2月7日 9時) (レス) @page47 id: f51baff03e (このIDを非表示/違反報告)
がー(プロフ) - もう大好きです！絶対続編読みたいです！もうやばいで大好きいいいいいいい！！！ (2019年9月26日 0時) (レス) id: 8eb0f6b23c (このIDを非表示/違反報告)
センカ(プロフ) - 心さん» コメントありがとうございます！おもしろいと言っていただけて本当に嬉しいです！とてもやる気が湧いてきました！ (2019年6月14日 19時) (レス) id: f204811481 (このIDを非表示/違反報告)
心(プロフ) - 初コメ失礼します。とても面白いです。更新頑張ってください！ (2019年6月13日 7時) (レス) id: 2141c8a0fe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：センカ | 作成日時：2018年10月21日 18時
