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どの学校でも往々にして長い校長先生の話が終わって、教室に入る。数人で固まって楽しそうに話している人達は元々同じ中学なのだろうか。黒板に貼られた席順の用紙を見て自分の席に座る。このクラスはどうやら明るい生徒が多いみたいだ。何とかやっていけるかな、と小さく息を吐いた。
担任の教諭が恒例のように一人一人自己紹介をすると言うと、クラスのあちこちからブーイングが上がった。…自己紹介なんて、人生で何回目だっけな。
頭の中で適当に台本を作り、出来る限りクラスメイトの顔を見ながら言葉を並べた。本当に聞いているのかは分からないけれど、ぱちぱちと軽い拍手が上がった。
同じ小学校出身の人とか居るのかな、と思ったけれど案外見つからないもので顔見知りは居なかった。居たとしても向こうは気付かないか。ゼロからのスタートはもう慣れたし、転校していった同級生のことなんて覚えていないと思う。
『……ここも、時間制限付きなんだろうな』
窓の外に映る景色は、無機質な作りの学校とは相反するように桜の木や未だ色の薄い春の青空が広がっていた。空なんてどこから見ても同じ筈なのに、知っているものとは違う情景に見えた。
入学して1週間。友達も少しずつ増えて学校にもこの街にも慣れてきた。仮入部の説明を受けてからは休み時間の度にクラスメイトは何部に入るかの議論に花を咲かしている。
数人に同じ部活に入らないか勧誘を受けたものの、「どうせ入っても」という諦観が私の首を横に振らせた。
体験だけでも付いてきてほしい、という友人の頼みで指定の場所に向かい、友人はそのまま残るらしいのでひと足お先に失礼させて貰う。教室までの道を思い出しながらゆっくり歩くと、角で誰かとぶつかってしまった。
どちらもブレーキをかけること無く思いっきり衝突してしまったため、力負けした私が衝撃で尻もちを着いた。ぶつかってしまった相手は、「わ、ごめん！」と謝りながら私に視線を合わせてしゃがんだ後、私に伸ばした手が止まった。なんだろう、と鼻っ柱を摩りながら顔を上げる。
「……あ、」
『……え、』
シャオ、ちゃん？
世界が、止まった気がした。いや、巻き戻った気がしたと言う方が正しいのか。
私の恣意で勝手に終わらせてしまったあの日の続きが、再び始まったように思えた。
会いたいようで会いたくなかった人。気付かれないと思っていたのに、この様子じゃ気付いただろうな。
……私のこと、忘れてなかったんだ。
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悠亜(プロフ) - すずらんさん» コメントありがとうございます！有難いお言葉光栄です……あまり派手な話ではないですがこの後もいろいろと2人の心境に変化が現れますのでそちらも是非見て頂けたら嬉しいです！ありがとうございます！ (2020年2月28日 9時) (
レス) id: eb2dbc11ad (このIDを非表示/違反報告)
すずらん(プロフ) - 何から言ったら良いのかわからなくて乱文になってしまうのですがコメント失礼します。好きです。心理描写がとても繊細で手に取るように分かりやすくて好きです。応援させてください… (2020年2月27日 9時) (レス) id: 14859b81d2 (このIDを非表示/違反報告)
悠亜(プロフ) - ユヅルさん» 前作からありがとうございます！前作との差分化を図るのが難しいですが、こちらもこちらで楽しんで頂けると幸いです！ありがとうございます！ (2020年1月19日 18時) (レス) id: eb2dbc11ad (このIDを非表示/違反報告)
悠亜(プロフ) - さいさん» コメントありがとうございます！中々微妙な距離感ですが、どう近付いていくんですかね。私にも分かりません。嬉しいお言葉をたくさんありがとうございます！気長にお待ちください！ (2020年1月19日 18時) (レス) id: eb2dbc11ad (このIDを非表示/違反報告)
ユヅル(プロフ) - わああああ！！前の作品も見させていただいてました…！！！相変わらずの文才…ほんとに尊敬します…！！更新頑張ってください！！ (2020年1月19日 18時) (レス) id: 0f65930547 (このIDを非表示/違反報告)
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