☆ 1 oとs ページ12
自分に無頓着なoさんと過保護なsさんのお話
(o目線)
「けほけほっ」
「ああほら、絶対風邪だって。‥もう‥‥」
「‥翔くんうっせえなぁ‥‥」
ちっさな咳をしただけで、顔色変える翔くんに、ほんのちょっとため息が出た。それと一緒にまた咳が出るもんだから、堂々巡りだよなぁ。
背中に添えられたあったかい手が、優しく背を撫ぜる。
「‥ほら、早く部屋戻ろ?」
どろっどろに甘い顔をして眉を下げる翔くん。
困った顔しておれを説得しようとする翔くん。
‥んふふ、かわいい。
朝起きた時から、喉がイガイガした。
昨日レコーディング終えたばっかりだから、良かったなぁ、なんて思ったりもした。いや、昨日レコーディングだったからこそこうして喉にきてるのかな、なんて思いながらもいつも通りリビングに降り‥ようとしたところで、咳が止まらなくなったのだ。
「ゲホゲホッ‥!っ、ゲホッ‥」
咳が出て、その咳がまた咳を誘発して咳が出て、唾かなんかが気管かどっかに入っちゃってまた咳が出て、息できないくらいむせた。
階段の手すりを頼りによたよたリビングにどうにか降りて、堪らなくなってその場でしゃがみこむ。
ヒュッ、と鳴る胸を片手で押さえて、もう片手で止まんない咳が出る口を押さえて、耐えてたら、
「ちょっ!‥智くん!?」
赤いドアから慌てて翔くんが飛び出してきた。
まだ寝間着姿の翔くんは、今起きました、って感じが伝わる格好で、髪の毛だって寝癖がついたまま。
「しょ、く‥‥、っゴホゴホッ‥」
「ちょっ、ま、喋んなくていいから!」
慌てて翔くんが飛び出して、すぐにおれのとこまで来てくれた。
うずくまるおれを抱きしめて、おれの顎を翔くんの肩に乗っけて、両手はおれの背中をトントンとやさしく叩く。「だいじょーぶだよ。」と息の整わないおれを励ましてくれた。
すこし上を向いたことで、ようやく新しい空気を入れることができたのか、はあ、と一息つけた。
「‥ちょっと落ち着いた?」
「うん。‥ありがと。」
「いーえ、どういたしまして。」
まだ息が変な音がするけど、とりあえず息できないくらいの咳は止まって、一安心。
翔くんもあからさまにほっとした様子で、はあああ、と大きく息をついた。
「まじでびっくりした‥。智くん、びびらせないでよ‥。」
そんなこと言われても、ねえ。
おれだってびっくりしたんだよ。
155人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:とことこ | 作成日時:2017年7月28日 14時