16.絶叫/O ページ17
｢あ、あ、あぁぁぁぁ!!!!!!｣
絶叫に近いニノの声が、二人っきりの部屋にこだまする｡
｢えっ？えっ!?
ニノ!!
ニノ、どうしたの!?
しっかりして!!!｣
ニノは部屋の入り口で崩れ落ちて、
体をエビみたいに丸めてる｡
ぎゅっと目を瞑り、額には玉のような汗を浮かべて
何かに耐えてるみたいだった｡
｢ニノ!!｣
｢あ…、う…、ッン……｣
さっきまでは薔薇色の頬をしてたのに｡
顔色は失われて頬は青白く
まるで釣りあげられた魚みたいに口をパクパクさせ
呼吸まで苦しそうだ｡
｢はっ…、あっ、あっ、あっ!!
あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!｣
今度は目を剥いて、また絶叫を上げて｡
ニノは体を捩って苦しがる｡
｢ニノってばしっかり!!｣
どうした？
何があった？
いくら名前を呼んでも、声さえ聞こえてないみたいだ｡
さっきまであんな、いい顔してたのに……
さっきまであんな
満たされたような、幸せな笑みを浮かべてたのに…!
部屋に入る瞬間、
コイツから目を離したのは、ほんの一瞬だ｡
背中を向けた途端に、ニノは獣のような咆哮を上げた｡
｢ニノ!!!!!｣
ビクビクと体を引き攣らせながら
ニノは自分の腕を満身の力を込めて握りしめてる｡
……そうだ｡
さっき、水を飲んで意識がはっきりした後
ニノはやけに自分の腕を気にしてた……
｢ニノ、腕見せて!!!｣
普段のニノからは
あり得ない力で腕を握り締める手をひっぺがし
浴衣の袖を捲り上げる｡
｢…なん…だ、コレ！｣
目の前には、思いもしなかった異様な光景が広がる｡
ニノの腕に群がるようにして
小さな何匹ものヒルが
ニノの肌を喰い破って美味そうに血を吸い上げてる｡
｢コイツ…!
ニノから離れろ!!｣
手で払いのけようとしも、強力な吸盤でくっついてるみたいに
ヒルは一匹もニノの腕から落ちていかない｡
しかもニノの体を侵食するみたいに
喰い破った場所から
ヒルが皮下組織へと、少しずつ体を潜り込ませていく｡
まるでニノが
ニノの血肉を、食い漁ろうとしてるかのように……
……普通じゃねぇな｡
すっと目を細めると
何処からともなくふわりと黒い羽根が舞い落ちてくる｡
先が鋭く尖ったソレを手に取ると
汗で湿り、のたうつ体を抱いて、ニノの耳元で囁いた｡
今、助けるから……、と｡
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作者名：あさり
作成日時：2014年12月14日 20時
