10.昔語りを致しましょう。/A ページ38
“ねぇねぇ、ピンイン｡
ピンインってさ、その…、//凄く美人だよね”
“まぁ、ユエリャンたら｡
ありがとう”
“あの…さ｡
俺、大人になったらピンインを守れる男になるから…
そしたら迎えに行くから…!
人間の王のお嫁さんなんてやめて、俺のお嫁さんになってくれる…？”
“んふふ…、嬉しいわ｡
ユエリャンのお嫁さんになれるなんて…
私、幸せね…”
｢てな会話をしたことあったな｡
そういや｣
ユエリャン君の体からすり抜けた翔ちゃんが
腕組んで空仰ぎながら暫く考えて
オレの顔見て説明してくれた『事情』がコレ｡
｢…………｣
｢……雅紀｡
脳内再生してる声、今のおれの声だろ？
あん時は女やってたんだ。
おれの声を女版にして、もっかい頭ん中で再生し直せ｣
｢女やってたって……
なんなの、ソレ｡
どういうこと？｣
｢おれは
人間をこの溢れる妖艶さで惑わす妖怪だぞ？
女装の域じゃなく、完璧な女に化けられるに決まってるじゃないか｡
あ、因みに妊娠機能はないからな｣
｢そこまで聞いてないし｣
今の翔ちゃんに、
息子溺愛の親馬鹿ママだって｡
まぁ、それは置いといて｡
って、ことはだよ？
ユエリャン君にしてみれば
初恋の憧れの歳上お姉さんが
実は男だったってことだよね？
｢やっぱ翔ちゃんが悪いんじゃん｡
子供だったユエ君の男心、弄んだってことじゃん｣
｢でも普通にそれぐらいのことあるだろ？
子供からしてみたって大人になった時、『あんなことあったなぁ』っつう郷愁になるんじゃねぇの？｣
｢どうすんのさ｡
ユエ君、可哀想なモンじゃん｡
初恋の憧れのお姉さんが、蓋を開けてみたら撫で肩スーツだよ？
しかもおっきな子供がいるママだって知ったら、二重にショック受けちゃうよ？｣
｢そんなん知らねぇし｣
｢そこのお前!!
人の名前を勝手に短縮するな!!!
それとピンイン!
俺と夫婦の約束がありながら、子供がいるってどういうことだよ!?｣
｢あー、｣
バツが悪そうに頭をポリポリ掻くと
翔ちゃんはオレの眼を暫く見つめて
何かを観念したように深い溜息をついた｡
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 677人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
ぼくらのおうち｡３〜Mｙ sweet home〜/気象ﾊﾟﾛﾃﾞｨ ぼくらのおうち｡２〜Mｙ sweet home〜/気象ﾊﾟﾛﾃﾞｨ ぼくらのおうち｡〜Mｙ sweet home〜/気象ﾊﾟﾛﾃﾞｨもっと見る
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あさり
作成日時：2014年10月30日 1時
