18.怖いもの知らず ページ19
｢あはは、俺に『お仕置き』だって!?
翔さんの知り合いみたいだけど、お前みたいなチビに俺が負けるワケねぇだろ!?｣
智を嘲笑う潤君に相葉さんが盛大な溜息をついた｡
｢翔ちゃーん、猫っ可愛がりもいいけどさぁ｡
『世の中には絶対喧嘩売っちゃダメな相手がいるんだよ』ってことくらい潤君に教えといた方がいいんじゃない？
大ちゃんは鞍馬山の大天狗、先に百鬼夜行を為し遂げた大妖怪が跡取りにって望んだ烏天狗だよ？
あんなまだまだ小僧っ子のワンコじゃなにやったって敵わないって｡
大怪我しても知らないかんね？｣
翔さんも相葉さんの言葉に頷きながら、智と潤君の様子を見守ってる｡
｢最初っからニノの守護者が智君って知ってれば、おれも力づくでも止めたけど｡
アイツ最近反抗期だからなぁ｡
おれの言うコト全然聞かねぇんだよ｡
ま、人間にも物の怪にも、そういう時期ってあるしな｡
跳ねっかえる時期ってのも大事にしてやんねぇといけねぇし｡｣
｢でもそれって、『命あっての物種』だよね？｣
｢『井の中の蛙大海を知らず』
まぁ…肌で覚えることも大事だろ｡｣
｢ふぅ…ん｡
ただの親馬鹿かと思ってたけど｡
……翔ちゃん、意外に厳しいとこもあるんだ｡｣
二人は呑気に喋りながら、潤君と智の様子を眺めてるけど……
悪いけどオレも智が潤君に勝つだなんて一ミリも思わない｡
アイツ、普段ぼーっとしてるし
世話してやんないと生きていけそうもないし｡
なんてったって潤君よりチビで細くて力も弱そうなんだもん｡
あんな鋭い牙持ってるヤツに翼が生えたからって勝てるもんなの？
相葉さんと翔さんは智絶対有利みたいに見てるけど
オレは潤君が言う通り、智に勝ち目はないと思う｡
だけど次の瞬間、オレの予想は完全に裏切られる｡
ピィー…って器用に口笛を鳴らすと
ばさばさと羽音が響き渡り、視界が黒い羽毛の海に覆われる｡
｢はっ、なんだよチビ!!
お前の攻撃ってのはこの程度かよ!?｣
潤君はカラス達を爪で斬り裂き、鋭い牙で喰いちぎっていく｡
その度に漆黒の鳥からは、断末魔の悲鳴のような鳴き声があがり
目に焼きつく様な鮮烈な赤がほとばしった｡
19.漆黒の羽根を纏いし者/N→←17.君の全ては僕のもの｡
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作者名：あさり
作成日時：2014年6月17日 23時
