鬼舞辻無惨の嫁

14話 ページ15

A『大丈夫ですって。結婚する前だって、1人で夜道くらい歩いてましたよ』

無「気をつけてくれよ」

A『はいはい』

無「わかってるんだろうな?」

A『大丈夫ですって』

無「…ﾊｧｰ)全く……」
　
A『ｸｽｸｽ)そろそろ、出かけたほうがいいんじゃないですか？』

無「そうだな……」

いきなり、仕事が入ったらしい。

明日も夜まで仕事だというのに……大変だな、なんて思ってしまう。

A『無理はしないでくださいね？』

無「分かっている」

無「…仕事とはいえ…すまない」

A『何を言ってるんですか、正さんのせいではないでしょう』

A『ほら、行ってらっしゃい』

無「行ってくる」

夜道を歩く背中を見送り、家に入る。

お風呂に入り、寝る支度をする。

布団に入り、目を閉じる。

だんだんと、眠気が襲ってくる。

眠気に任せ、そのまま深い眠りについた。









次の日。

いつもと変わらぬ日々を送っていた。

…………夜までは…………

夜。

何か簡単に作ろうと、食材を探すと……すっからかんなことに気が付き、材料の調達をしに外へでかけた。

商店街を歩き、店に行くが………目当ての材料が見つからず、大通りから少し外れたところにある店まで歩く。

無事、お目当てのものを手に入れ、家へ向かって少し歩いていたときだった。

？「ｸﾞﾙﾙﾙﾙﾙﾙ…………)」

何かの、唸り声のようなものが聞こえる。

野犬か何かだと思い、周りを見渡すと………何もいない。

A『？』

気のせいかと歩き始めた時。

スッと自分の上に影ができた。

反射的に上を見ると……何かがこちらに向かって飛び込んでくる。

人のようなシルエットだが……人が、あんな高く空中を飛べるはずがない。

驚きのあまり、動けないでいると……あっという間にそれはすぐ目の前に迫ってきた。

A『(鬼！？)』

正さんの…言葉を思い出す。

無「1人で、夜道を歩くときは気をつけてくれ」

………このことを言ってたのか……?

分からないけれど。

というか、鬼なんて実在するのか！？

とか、どうやってあんなに高く飛んだ！？

とか、この鬼……私のことを食べる気なのか！？

とかこういう時に限って、どうでもいいことが頭に浮かんでは消える。

……人気のない所を通らなければ……こんなことにはならなかったのだろうか。

いやでも……気をつけてどうにかなる相手でもない気が……

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