118話 ページ29
しばらくすると立花先輩が戻って来た。
立花「A!!!今か戸を爆破する!!!扉の近くからは離れたな?」
『は、はいっ』
立花先輩は息を荒くしながら雨にも負けない大きな声を出した。
私も震える喉で精一杯大きな声を出す。
やっと、出られるんだ。
立花先輩の周りにはきっと上級生たちが集まっているのだろう。
気配が多い。
扉の向こうから、ジュッ、と焙烙火矢に火がつく音が聞こえた。
立花「では、着火!!!!!!」
ドカーーーーーーン!!!!!!!
『…っ……………!…扉が……開いてる…!』
尾浜「Aちゃんっ!!」
壁一面が吹っ飛び、少し静かになり、ゆっくり目を開いた。
思っていたよりも破壊された部分が大きくて、泣きそうな、安心した顔をしたみんなのいる、外が見えた。
尾浜先輩は一目散にこちらに来て私を抱きしめてくれた。
『!尾浜先輩……』
尾浜「本当にっ……無事で良かったぁぁ!」
『!』
善法寺「Aちゃん。この倉庫はとても寒かっただろう?怪我もないか確認したいから保健室へ行こう。尾浜、Aちゃんを連れていくのを手伝ってくれるかい?」
善法寺先輩が丁寧に指示を出す。
尾浜「わかりました。Aちゃん立てる?」
『い、いえ……すみません。肩を貸してもらっても良いですか?』
尾浜「無理に歩かなくていいよ。おぶってあげる」
尾浜先輩は私に背中を向ける。
いつもなら「バカにしないでください!」と怒るが、心配そうに私を見つめる尾浜先輩を拒否できなかった。
不甲斐ない。
『……お願いします』
尾浜「任せときな〜!」
善法寺「他に怪我をしている人はいるかい?」
食満「いないようだぞ」
善法寺「良かった。じゃあ皆に片付けを頼んでもいいかな?」
食満「もちろんだ」
善法寺「ありがとう」
尾浜先輩と善法寺先輩と共に保健室へ向かった。
〜誰の視点でもありません〜
立花仙蔵の焙烙火矢によって倉庫は開いた。
中には口から血を流し、苦しそうな表情のAがいた。見るだけで胸が苦しい。
Aが倉庫から出られる喜びと共に、何も出来なかった自分への悔しさが彼らを襲う。
もっと早くAを見つけ出せなかったのか、
未然に防げたのではないか、
後悔が尽きない。
だが誰かが言葉を発する前に尾浜勘右衛門がAに抱きついた。
Aは安心したように笑みをこぼした。
〜終了〜
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ぴーす(プロフ) - 夜桜ほたるさん» コメントありがとうございます!!めちゃめちゃ嬉しいです😭実は私ほたる様の「拝啓 兄上へ」が大好きでして…!無理しない程度にこれからも更新頑張りますね! (10月19日 21時) (レス) id: 23bbbb4f37 (このIDを非表示/違反報告)
夜桜ほたる(プロフ) - もうさいこうです!!今一番のお気に入り作品です・・・!!更新楽しみにしてます・・・でも無理をしすぎないでくださいね!! (10月19日 19時) (レス) @page44 id: 1600cbbb8f (このIDを非表示/違反報告)
ぴーす(プロフ) - 有栖川鳴花さん» うわぁぁぁ!!!ありがとうございますぅぅぅぅ(号泣)2、3個投稿してるのでチラッと見ていただければ幸いです!! (10月15日 14時) (レス) id: 23bbbb4f37 (このIDを非表示/違反報告)
有栖川鳴花(プロフ) - Twitter見ます(小声) (10月15日 14時) (レス) @page40 id: 6949a73177 (このIDを非表示/違反報告)
ぴーす(プロフ) - Suzuさん» コメントとリクエストありがとうございます!!兵庫水軍かっこいいですよね✨「五年生に編入生…?の段!」が終わり次第書かせていただきます!!しばしお待ちください〜! (9月30日 19時) (レス) id: 23bbbb4f37 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぴーす | 作成日時:2023年9月21日 17時