しあわせ ページ47
※内容があれです(どれ)
大分酷い設定にしたつもりです。
大丈夫な方はお読み下さい。
途中で嫌になったら読むのをやめて下さって構いません。
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此処は、スラムと呼ぶのが合っているだろうか。
綺麗に整備された大都市の裏側に、我々のような貧民層が群れとなって生活しているのは言うまでもない。
政府は汚れた我々には目もくれず、いかに街を発展させるか、どのように外国人観光客を招き入れるかと、表面と経済のことしか考えていないのだ。
このまちについて少し説明しておこう。
ここは所謂スラム街。
不衛生極まりない中、多くの貧民者が生命にくらいつく。
やりたい放題の人間が朝だろうと昼だろうと欲に従順に生きる。
そこで誕生した新たな生命は、最初は母親に育てられるも物心がついたら手放され、母親の顔も知らずに生きていく。
父親なんて存在しない。孕んだら他の女を探し、性に飢えることなく生きていくのだ。
女性が抗えるはずもなく、一度目をつけられたら最後。
そんなまちで生活する僕は、大人の恐ろしさを知った。
勿論、親の顔は知らない。
ただ、まちに溢れる人とモノ、それが僕の世界なんだ。
そして、僕は一人の少女と出会う。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
もう何日ほど腹を空かせているだろうか。
食料を探す気にもなれないが、そろそろ何か食べないとまずい。
重い体を起こし、近くにあったゴミ袋を漁る。
出てきたのはパンくずと何かのカップに残ったクリームだけ。
これだけでも今日は保つだろうと思い、とりあえず貪るように食べる。腹は満たされない。
飯も食ったしもうひと眠りしようとした時だった。
「コラ、待ちやがれそこの嬢ちゃん！！」
「チッ、すばしっこいたらありゃしねえ。」
どうやら、女の子が商店街から盗みをしてきたようだ。
両手に抱えたパンや果物に、嬉しそうな笑みが隠せていない。
このまちは基本(基本もクソもないが)何でもアリで、あの子のように盗みをする人もいる。
僕からしたら、逃げるのに体力を使ってしまい捕まって殺されて終わりだろうからそんなの御免だ。
だが彼女を救いたいと思った僕は、近くの店から物を盗み、先程の追っ手の気を僕に引き付けた。
その間に彼女は逃げ切れたみたいだ。
僕は裏道に入り、奴らの死角に隠れた。
「あの坊やどこ行きやがった…」
「もう帰ろうぜ、こんなとこ居られたもんじゃねえ。」
続
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作者名：名奈 | 作成日時：2021年1月18日 17時
