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その日、たまたま同じ部活の子が休んでいて一人だったもう一人の合唱部の子とご飯を食べ、古典担当の先生に断りを入れた。
日付は進んでコンサート当日。
開演は14時だから、ギリギリまでステージで練習する。
3年生はソロや司会を任されており、私は最後の曲でソロをすることになった。そこは、楽譜で一人一段担当することになり全四人、音の関係で3番の私からのスタートだった。
1年生の時から先輩方のソロで歌う姿を見ていて、憧れはあったものの、いざ自分がやることになると緊張してやばい。いつもみたいに音量が出ないし、声が震える。心配が募るばかりで、不安で仕方がない。
また、別の曲でソロではないものの、大分目立つパートを任された。その曲では、同じようなパートを担当する子が隣にいて、私の後に彼女が入ってくる構成だった。私がタイミングを間違えたら全てが崩れてしまう。もうやばい、ほんとにやばい、指揮見ててもなんか拍数ずれちゃうし音合ってるか不安だし、あ゙ーも゙ーなんで私に振るんだよー泣
そんなこと言っても時は一刻一刻と進み、気づけばその曲に。
先生の説明があった後曲が始まり、私達が目立つ終盤が近づく。
ぶっちゃけ頭真っ白だ。失敗せず歌えるかってことが脳内を埋める。やばいやばいもうすぐじゃんやばい音分かんねぇよどうするよ泣きそう、泣かんけど。
その時は来た。
「ティルトゥトゥトゥ」
「クックックッ」
「ティルトゥトゥトゥ」
「クックックッ」
「ティルトゥトゥトゥ」
「クックックッ」
「クックックッ…」
うあ゙ーちゃんと出来たかなーてかクックックッ上手すぎだろ劣るわほんとにもー。
なんてしてる間に、遂に最後の曲。
まだソロが残っているため気は抜けない。
この曲は数曲組み合わさったメドレー形式で、各学年で歌う曲や鯉のぼりを使った演出があり、移動がかなり忙しい。
それでも曲は進み、私達のソロの番が来た。
ピアノの前に出る。
その時の記憶はあまりない。ただ、ホールに響かなかったように感じたこと、四人のソロの後お客さんが割れんばかりの拍手をくれたこと、それだけが私の心に残っている。
コンサート後、3送会ということでみんなで焼肉に行った。
3年生から一人一言話すことになり、その内容も覚えていない。でも、なんかみんな私の話を聞いて「おー」ってなってた。3年生まで。
良いこと言えたかな?大分キツい部活だけど、後輩達にはちゃんと最後まで頑張ってほしいな。
夏に別れ。
続
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作者名:名奈 | 作成日時:2021年1月18日 17時