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3月1日。 ページ31

高校3年、2月。
来月になれば、俺らは高校(ここ)を卒業し、それぞれの道を歩むことになる。
俺は県内の大学に、Aは九州の大学に進学する。俺らの今いる東北(ここ)からは、"かなり"とか"結構"とか、そんな言葉じゃ足りないくらい遠い。新幹線より飛行機の方が安いんじゃないか?知らんけど。


「……っと!…ちょっと!考え事ですかー?」

「いやー、俺らもう卒業するんだなーって。」

「そうだねー。3年間早かったねー。」

「んな。この景色も見れなくなるのかって思うと、一気に寂しくなるわー。」

「でも、〇〇はまだ県内だからいいじゃん?私なんか九州だよ?何か緊急事態起きても駆けつけられるか分かんないよ…。」

「それは仕方ないでしょ。」

「でも恋しくなる時ってあるじゃん?そうなったらどうしようって感じだよね。」


あはは、なんて苦笑いを零すA。俺はAにそんな顔、させたくないのに。


「じゃ、私はこれで。」


いつの間にか、Aの家の方向との別れ道に着いていた。


「おう、じゃあな。」

「うん、またね。」


淋しそうに微笑んだAを、どうすることもできなかった。



よく、"卒業"という単語には桜がイメージされるが、この故郷(まち)では、3月に桜が咲くことはほとんどない。たとえ下旬であっても。俺らの知らないことがたくさんある。
世界は、俺らの知らない未知に溢れている。それを知るために、俺らは"幼馴染"という関係から離れることになる。

せめて、Aが九州(向こう)に行くまでは、"幼馴染"でいいでしょ?

「好き」なんて言う勇気ないから、せめて、卒業するまでは、どうか──。




卒業まで、あと少し 『3月1日。』



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ご卒業おめでとうございます。ありがとうございます。(自己完結)

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作者名:名奈 | 作成日時:2021年1月18日 17時

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