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軽やかな三拍子が耳に届く。
恐る恐る目を開けると、そこはまさに、舞踏会場だった。
「え？」
下を見ると、淡い水色のドレスが視界に入る。
手にはレースの手袋が、足にはガラスの靴。
これら一式揃えたのも、ここに連れて来たのも、あの悪魔なの？
「あの、大丈夫ですか。」
美しい女性が声をかけてきた。
綺麗にまとまった髪に、可愛らしいピンクのドレス。
白い肌に朱の頬、紅い唇。
どこかの貴族だろうか。
「……ちょっと、大丈夫ですか？返事できますか？」
「あ、すみません、大丈夫です…」
「それなら良かったわ。ところで、貴方見かけたことないわね。もしかして初めてかしら。」
「え？………は、はい。」
「やっぱりそうなのね！ちょっとあちらでお話しましょう！」
初めてかと聞かれたが、このような舞踏会は定期的に行われているのだろうか…。
兎に角、彼女の言うことに合わせておいて正解だったなと思う。
「まずは舞踏会について説明するわ。この舞踏会は100年以上続く、伝統深いものなの。この街の貴族だけでなく、隣町からもいらっしゃるのよ。若い人にとっては、ここが結婚相手を探す場になるのよ。」
「そうなんですね…。」
「……そう言えば、自己紹介がまだでしたわね。私は上野家の第一王女、上野
そう聞かれ、何て答えようか思考を巡らせているところに、一人の男性がやって来た。
「これはこれは、茉里王女ではありませんか。ご無沙汰しております。」
茉「ごきげんよう、
陽「それはありがとうございます。貴方はどちら様ですか？初めてお目にかかりますが。」
「あ、あの、えっと、その、」
陽「ああ、もしかして初めての舞踏会で緊張しているのかな。それなら無理もない。」
「すみません…」
陽「謝ることないよ。最初は誰だって緊張するからね。それより、1曲ご一緒してくれないかな。」
「は、はい。私でよければ…」
陽「何言ってるの。君だから良いんだよ。さ、行こう。」
手を取られ、ダンスの輪に加わった。
茉里さんがものすごい形相でこっちを見てくる。絶対陽さんのこと好きでしょ。こんな一般人の私が一緒に踊ってしまって、申し訳ない気持ちでいっぱいだ…。
陽「よそ見しないで。」
「は、はい。」
そう言われ顔を上げると、陽さんの顔が私の瞳に映る。
いや整いすぎだろ。こりゃ茉里さんも好きになるわ。
続
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作者名：名奈 | 作成日時：2021年1月18日 17時
