崇高 ページ22
俺の彼女は、例えるなら女神だろうか。
所作はゆったりと優雅で、口調はものすごく丁寧。口元を手で覆い微笑む姿は神聖で、穢れを知らない。彼女の周囲には、常に清廉な空気が流れている。
そんな彼女にダメ元で告白したらまさかのOKで、今に至る。今は、彼女に釣り合う男でいることに精一杯。気を張っていないと、誰かに盗られてしまいそうだ。
まさに「precious love」である。
今日はデートの日。彼女と遊園地に行く。
そして、俺にとっては人生で一番緊張する日。なぜなら今日、彼女にプロポーズするから。
「〇〇くんごめんなさい!お待たせしました!」
緊張で頭が真っ白な俺は、待ち合わせ1時間前に着いてしまい、心臓がうるさかった。というか今もうるさい。
「大丈夫だよ。行こっか。」
彼女の手を取って、園内に足を踏み入れた。
「何に乗りたい?」
「そうですね……あ、あれはどうでしょう?」
彼女が指さしたのは空中ブランコ。
「お、いいね!乗ろ!」
久しぶりに乗った空中ブランコは、楽しいより怖いが勝った。遠心力で飛ばされるかと思った…。
隣を見ると、彼女は満足そうな笑顔をしている。ああ、なんてかわいいんだ……。
「次は何にします?〇〇くんが乗りたいのにしましょう!」
彼女はこんな気遣いもできる。男だとスパダリって言うけど、女の子だと何て言うんだ?
「うーん…あ、メリーゴーラウンドがいいな。」
「では行きましょう!」
そう言うと、今度は彼女が俺の手を取って歩き出した。かわいすぎる…!
「…あの、馬も良いんですが、このカボチャに乗りませんか?」
向かい合って2人ずつ座れるカボチャの馬車。ちゃんと馬が引いてくれている。
「いいね。」
正面に座った彼女は、後ろ向きで乗ることが夢だったらしい。
それを俺が叶えているという嬉しさが込み上げてきてやばい。こんなに楽しんでるのに、プロポーズって単語が脳内で走り回っていてこっちもやばい。語彙力がない。
「風が気持ちいい…」
先程ほどスピードが速くないため、彼女の髪は乱れることなく、さらさらと風に揺れている。一体、彼女はどこまで俺の心臓を締め付けるつもりなんだ…。
「そろそろお昼の時間ですね。何か食べましょう。」
彼女の一言で、俺は時間の流れの速さを実感した。
続
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作者名:名奈 | 作成日時:2021年1月18日 17時