歪 ページ1
※ヤンデレっぽいです。
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酷く棘を纏った、薔薇の茎のような何かが私の首にまとわりつく。
痛い。苦しい。助けて。
「ねぇ、自分が何したかわかってる?まさか門限の時間を知らない…なんてことはないよね?」
その言葉と共に、彼の手に力が加わり、棘が首を圧迫する。
「しかも男に送られてくるなんてさ……君は僕の彼女だという自覚がないのかな?」
口調は優しいのに、私の首を絞める彼の手は優しくない。
じんわりと血が滲み出たのがわかった。
「今まで散々優しく教えてきたよね?まだ分からないの?もしかして、僕に閉じ込められたくてやってるの?」
…違う。そんな筈ない。
「約束も守れないなら、躰に教え込むしかないよね?」
嫌だ。嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ。
必死に首を振って抵抗するが、彼には届かない。
「それとも、やっぱり鎖で繋いでおこうかなぁ?……ふふ、その綺麗な瞳に、僕しか映らないようにしてあげるね?」
期待からか恐怖からか判別できない、生理的な涙が瞳に溢れる。
「…………ッ…今は、僕のことだけ考えて?」
いつの間にか棘が外され、彼は私の首に伝う滲んだ血を舐めていた。
そして新たに咲いた、紅い華。
「痛かったよねぇ…。これで分かった?次はないからね?」
必死に頷くと、彼はふっと柔らかく微笑み、先程彼が付けた華をなぞる。
「んふふっ、綺麗についたねー。消えたらまたつけてあげるからね?」
首に咲いた華が枯れても、私の心に咲いた華が枯れることはない。
歪んだ愛し方をする彼に心を奪われたのは、他でもない、私なのだ。
これが、私たちの歪な愛の形。
My Private "Jealousy" 『歪』
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作者名:名奈 | 作成日時:2021年1月18日 17時