【弐】 ページ13
『師範、とりあえず刀を下ろしません？私そろそろ腕が限k…(ブォン)…っ！』
不死川が突然刀を引いたことでそれまでなんとか保っていた二振りの拮抗が崩れ、Aも大きく体勢を崩した。それだけでは終わらず、間髪いれず隙だらけのAに不死川の右足が振り下ろされるが、無理矢理体を捻って寸でのところで回避する。
『いきなり何するんです？』
「それはこっちの台詞だァ。師範に楯突くなんざ、テメェ暫く見ねぇ内に随分と偉くなったもんだなァ、アァン？」
『顔恐っ……ほんと沸点低いですね、貴方。』
「うるっせェ！その嘗めた態度、久し振りに矯正してやるよォ、馬鹿弟子がァ。」
転がるように距離をとったAを射殺さんばかりに睨み付け、不死川は刀と禰豆子の箱を放り出して足を踏み出した。一気に距離を詰めるとそのままの勢いで右腕を大きく振りかぶり、Aの頬へ強烈なストレートを打ち込む。
しかしAもそう易々と喰らうわけもなく、薙刀を放り出して重ねた両手の掌でその拳を受け止めた。勿論そのまま真っ直ぐ受け止めては力負けするのが目に見えているため、自身の右下方向へ軌道をずらすように往なしながらだ。
そして今度はAの方から不死川の空いた脇腹へ素早い蹴りをお見舞いする。威力不足を補うために腰から回転を加え、更に爪先が肋の間に食い込むよう角度を調整する小細工付きだ。
しかし喩え鬼の如く悪人面でも、不死川は鬼殺隊最高位の柱である。半身を反らして危なげ無く回避し、逆にその足首を掴んで思いきり上へと引き上げる。逆さ釣りのような体勢になりバランスを崩したAだが、そこは持ち前の柔軟性を活かし、すぐに両手を地に付いて軸とし、自由なもう片足で回転蹴りを喰らわせた。
しかしまた不死川が回避し＿＿＿と、激しい肉弾戦が続いていく。しかも両者とも途徹もなく素早いのだ。一番近くで見ているはずの炭治郎には目で追いかけるのがやっとだった。
「(早い…！あの人、柱と互角にやりあってるのか！？……ていうか女の人相手に容赦ねぇ！)」
「おーい、不死川。隊員同士の喧嘩は御法度だろうが。派手に隊律違反だぞ。」
「喧嘩じゃねぇよォ、これは躾だァ！」
『ついに犬猫扱いですか…っ』
女性でも容赦なく顔面を狙っていく不死川にドン引きな炭治郎を余所に、宇髄の忠告も虚しく二人の攻防はどんどん激しさを増していく。
続く
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MONACA - かわいい (2019年11月19日 21時) (
レス) id: 8230194393 (このIDを非表示/違反報告)
愛花 - とっても面白いです！時透君が可愛い！更新頑張ってください！待ってます！ (2019年8月18日 22時) (レス) id: 5d74a38634 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：白雪 | 作成日時：2019年8月4日 18時
