【鬼灯の冷徹】地獄照らすは業火の女神

鬼vs宿敵 地獄大一番 ページ4

「阿鼻地獄で川が氾濫しています！」
「天国から要請書が…っ」
「黒縄地獄は財政破綻しそうです！」
「また亡者がドッと…！」
「"果樹園を焼いた者はサトウキビでめっちゃ叩く"って現代に合いません！改定しましょう！」
「あー、えーっと…っ」

今日も今日とて閻魔殿は大騒ぎ。
様々な問題を抱えた獄卒達が押し寄せ、その中心では閻魔大王があたふたと慌てふためいていた。
そんな戦場のような法廷へ近付いてくる者が一人。

『阿鼻で氾濫？まったく、そのくらい自分たちで対処できないものかな。何のための政令指定地獄だと思ってるんだ。』
「え、あっ…A様！」
「Aちゃん！こっちに来てたんだ！」

近くにいた獄卒から書類を取り上げ、呆れたように溜め息を吐いた人物＿＿艶やかな茶と赤のグラデーションの髪を靡かせた、一見20代に見えるその女性こそ閻魔大王第二補佐官にして阿鼻地獄の主任も勤めるAである。
その姿を認めた途端、その場にいた獄卒は勿論、閻魔大王も神の助けと言わんばかりに顔を輝かせる。

『阿鼻の件は私が預かるよ。天国の要請は……ああ、桃農家の手伝いか。農園を拡げるのはどうかと思うけど確かに手入れは必要だね。これは鬼灯の判断が必要かな。黒縄の財政については過去の出金記録をまとめておいてくれ。後で確認するよ。亡者はここまでの裁判の記録から、罪の軽い順に並ばせて。今、第四補佐官が閻魔殿にいただろう？すぐに呼んできて、彼でも対処できる亡者優先で裁判を進めいこう。臭気覆処のサトウキビ打ちは最早ネタというか…名物として残している部分があるからなぁ。というか、至急の案件じゃないよね？社会人なら仕事の優先順位くらい見極めなさい。』
「いやぁ、助かるよAちゃん！この忙しさで鬼灯君もあちこち引っ張りだこでねぇ」
「あれ、そういえば鬼灯様は…」
「等活地獄まで視察に行ってるよ。」

テキパキと捌いていくその手腕に感嘆と安堵の息を吐きながら、大王と獄卒達はAの指示通りに動き出す。
その生き生きとした様子にAもクスリと微笑を漏らした。

『みんなお疲れさま。もうひと頑張りお願いね。大王、来て早々申し訳ありませんが阿鼻に戻ります。あ、唐瓜君、この書類を鬼灯に届けてくれないかな。』
「はい！」
「ごめんね、よろしく頼むよ。」

等活地獄へ向かう唐瓜を見送り、A自身も阿鼻へ戻るべく閻魔殿を後にした。

さぁ、この要請を出した能無し共にはどんな制裁を加えてやろうか…。

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