*地獄の沙汰とあれやこれ ページ20
『あーもー疲れたー…お腹空いたー…』
ブツブツとぼやきながらAは閻魔庁への道をフラフラ歩いていた。
その日は阿鼻地獄で小規模な亡者の反乱を叩き潰してやったり、その事後処理だったり…兎に角面倒事に追われ、こうして閻魔殿へ帰る頃には疲れきってボロボロだったのだ。
ようやく閻魔殿に辿り着いたAが溜め息を吐きながら表口前の階段を昇っていたその時_
「オーマイゴォォォッド!!!」
『……ん?』
巨大な人物が閻魔殿から飛び出して隣を駆け抜けていった。
振り返るもすでにその影は遥か遠くにあり、誰だったのか判別はできなかった。
『(どこかで見たような……気のせい?)』
記憶を探るがパッと思い付くものはなく、Aはまぁいいかと扉を潜ったのだった。
『ただいまー』
「ああ、おかえりなさいAさん。…随分お疲れのようですね。」
閻魔殿の廊下で出迎えてくれたのは何故か七輪を抱えた鬼灯だった。
『あれ、鬼灯?確か今日はサタン様の接待じゃなかった?』
「先ほどお帰りになりました。折角金魚草を炙ろうかと思ったのに。」
『ああ、その七輪はそういうことか。』
話を聞く限り、先程走り去っていったのはサタンだったのだろう。
それにしても閻魔大王へ挨拶もせず帰るとはどういうことだろう。それだけ重要な用事でもあったのか…。
「それよりAさん、会食用の料理が残ってるんですが召し上がりませんか?サタン様がほとんど手を付けられませんでしたので。」
『ほんとっ!?食べる食べる!もうお腹空いて倒れそうなんだ!』
「それは良かった。優勝物の金魚草を丸々一匹捌いたので、刺身が大量にあるんです。よければ炙りもできますし、寿司も握りますよ。」
『やった!鬼灯の握ったお寿司、好きだよ。そういえばこの間も新しい包丁買ってたよね。解体ショーとかで見る大きいやつ。』
「ええ、早速今日使ってみたんですが素晴らしい切れ味でした。」
いつもの仏頂面ながら少し楽しげに語り出した鬼灯。その様子にAもつられて口元を緩ませた。
こうして一緒にいられるだけで、なんだか疲れも全て吹き飛んだ気がする。Aは鬼灯ほどワーカホリックではないのできつい仕事は好きではないのだが、仕事後のこの解放感と安心感は大好きだ。
『(鬼灯も同じだといいけど…。)』
まぁその答えは彼の顔を見れば一目瞭然なのだが。
改めて幸せを実感しながら、二人は閻魔大王が待つ会食場へ入っていった。
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星の桜(プロフ) - 更新待ってました...!!!有り難う御座います( ;∀;)作者様のペースで!ゆっくりで!待ってます!!! (2019年8月5日 12時) (レス) id: 847ebd8ac8 (このIDを非表示/違反報告)
満月 - 最高でした!何度も読ませて頂いています!7回目ですかね…← まっ、それは置いといて、とっても面白かったです!更新頑張って下さい。応援してます!笑いや、イチャイチャ場面ご馳走様でした!鬼灯様可愛い…!!神作品ですね…文才寄越せ下さi(殴 (2018年8月28日 2時) (レス) id: d83bdf162b (このIDを非表示/違反報告)
あーみ(プロフ) - 面白くて何回も読ませてもらってます!更新楽しみにしてます♪がんばってください(≧▽≦) (2018年8月13日 9時) (レス) id: eacb75658f (このIDを非表示/違反報告)
かりん糖(笑) - 面白い!更新応援してます! (2018年5月26日 13時) (レス) id: 9e16e8366e (このIDを非表示/違反報告)
男にならざる物(プロフ) - 初めまして今日はじめて読ませていただいたのですがとても面白いですね。最近アニメを見始めてにわかですが楽しみに夢小説を楽しみにさせて頂いておりますそして気長に更新を待たせていだだきますこれからも頑張って更新して頂けると私も嬉しいです! (2018年5月14日 14時) (レス) id: 234f9e8ec0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白雪 | 作成日時:2018年5月13日 20時