人たらし ページ35
「結局、萩の独壇場じゃねーか」
「みたいだな」
前方を女の子たちに囲まれながら歩く萩原を眺めながらそうこぼした松田とゼロに頷く。
「あのー…」
「?」
「…何か?」
通りがかった松葉杖のおじいさんに、呼び止められて、ヒロと一緒に振り向く。
「もしかして、背の高いあの男性のお知り合いですか?」
指さす先は萩原の背中。
いまいち状況が飲み込めず、不思議そうにヒロが同意を返す。
「では、「先程おんぶして頂いた上に、おみくじまで買って頂いてありがとうございます」と、お伝えください…」
嬉しそうに話すおじいさんの話には、聞き覚えがあった。
先程、遅れてきた萩原が話していた内容と全く一緒だったからだ。
「…ほんとの事だったのか」
「萩はそういうウソは言わねぇから
まぁ、助けたオッサンをバアさんって言ったのは、ウケが良いからだろうけど…」
老人の背中を見送る。
情けは人の為ならず、というか、見返り云々より、そういうことを簡単にやってのけるところが萩原のすごい所だと改めて思う。
(手は貸すかもしれないけど、おみくじまではたぶん引かないかもなぁ…)
天性の人たらしというか、世渡り上手というか。
「ん、ヒロ?」
ふと横を見ると、隣を歩いていたヒロの姿がない。
後ろを振り返ると、その少し先で立ち止まって何かを見ているヒロの姿があった。
「おい、どうしたヒロ?」
「置いてっちまうぞー」
「あ……オウ!」
何か引っ掛かりがあるのか、後ろを気にしながらもヒロは小走りで戻ってきた。
なんだかその表情に、以前のバイク店と似たような雰囲気を感じて
「ヒロ」
「んー?何?Aちゃ……」
屈んだその頭に、手を伸ばす。
そのままわしゃわしゃと2、3度てをうごかした。
だがヒロは何故かピタリ、と動きを止めてしまった。
やっぱり何かあったのだろうか。
「何があったかは知らないが……大丈夫だぞ?」
でもやっぱり皆背が高い。屈んだとはいえ、それでも手を結構伸ばさないといけない。
「………っ!!」
「ほら、行こう?」
手を引っ込めて、少し距離が空いてしまった萩原達との距離を埋めるように軽く走った。
「……ヒロ、顔真っ赤」
「萩もだが…あいつも大概だよな」
「新宮のやつ、別の教場のやつが言うには案外モテてるらしいしな」
「おい班長、詳しく教えろ」
「オレ……ちょっと今顔見れない気がする………」
勿論、後ろでそんな話が続いてるなんて、知るはずもなかった。
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しゃ〜け(プロフ) - 早桃さん» 早桃さん、コメントありがとうございます〜!!!面白行っていただけてもうめちゃくちゃ嬉しいです!!頑張って更新していくので、今後も是非よろしくお願いします〜!! (2022年12月27日 1時) (レス) id: 8454d3df8d (このIDを非表示/違反報告)
早桃 - すっごい好きな作品です!面白い!これからも無理せずに更新頑張って下さいね!応援してますぅぅぅ! (2022年12月26日 12時) (レス) @page37 id: f9af42ef58 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しゃ〜け | 作成日時:2022年12月19日 2時