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後日談:絶対的《土方サイド》 ページ39

仕事を片付け、俺は部屋に戻る。
見ると、希美は厄日を乗り越えて疲れきったのかすやすやと寝ている───左目に、包帯を巻かれて。
希美は忌むべき相手と、同じにされた。眠れるものも、眠れないだろう。
「・・・・・・希美」
寝ている希美の傍に座り込み、頬を優しく撫でる。
ミツバとは、所謂男女の関係にはなれなかった。明日死ぬかもしれない俺が、彼女に深く溺れていく自分が、怖かったからだ。彼女の幸せの為、彼女を守るために傍にいることを許さなかった。
でも結局、あんな死に方をさせてしまった。
そんな後悔が、今でも残る。これが、トラウマというものなのか。
「・・・絶対に守ってやるからな」
希美は俺に助けを求めた。「もう壊れたくない」と願って、俺に手を伸ばした。そしてその手を、俺は掴んだ。
希美に苦しい想いはさせたくない、一人にさせたくはない。勿論、自分自身もだ。
「───────らしくないですねぇ。副長あろうものが、一人の女の為に躍起になって・・・実に貴方らしくない」
ふと背後から、低い男の声がした。俺は怪訝に思い振り向く。
そこには、白と黒の混ざった髪の毛をした男が。黒い模様が入った白衣を着た男が居た。
「山南・・・・てめぇ」
「おぉ、怖い怖い・・・そんなに敵意を剥き出しにせずとも、僕は彼女に手出しはしません。だから、ご安心を・・・・土方副長」
俺の名を囁く声には微かな被虐が存在した。非の打ち所のない好青年とした雰囲気は、この男───山南海助(やまなみみすけ)の装飾のようなものだった。
「何の用だ。俺はお前と無駄話をしている暇なんざねぇよ」
あくまで冷静を保ちつつ、俺はトゲのある口調で言う。
「いいえ、少し気になる事がありまして。彼女に問い尋ねようとしましたが、この様ですし・・・。なので、春咲希美という女を熟知してる貴方に訪ねようという感じなのです」
「・・・・・・・手短に話せ」
「彼女、どうして貴方に懐いてるのですかねぇ。それも、こんな無防備になるぐらいに」
不敵な笑みを浮かべて、山南は言う。
「逆に言えば、貴方以外にはどうしても冷たいのか。貴方以外にはどうしてあんな粗暴な雰囲気を出すのか。気になるんですよ。
実を言いますとね。新しく入った藤堂公助君は彼女に親しくしてるのを見たのですよ。けれど、彼女はそれを無視してる・・・いや、避けてるように見えました。恐らくですけど、他の隊士にもその様な態度をしてるのではないかと」
饒舌に、山南は持論を言った。

後日談:運命の巡り合わせ《土方サイド》→←第三十四話:以心伝心



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設定タグ:銀魂 , オリジナル   
作品ジャンル:アニメ
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作者名:梨花 | 作者ホームページ:http  
作成日時:2020年8月3日 23時

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