検索窓
今日:9 hit、昨日:2 hit、合計:3,418 hit

第三十二話:鮮血 ※過激表現あり ページ36

「え・・・・・・?」
急に左半分が、電源を切ったように見えなくなった。ふと、俺は左目に触れる。生暖かい何かの感触がした。
それは─────真っ赤な鮮血。
「────────」
状況を把握した時に、痛覚は蘇ってしまった。
「あ──────・・・・・あああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」
痛い、とても痛い。媚 薬によって感覚がバグってるせいか、焼けるような痛みが体全身に駆け巡る。
それでも、体は高杉に一矢報いろうと足掻く。けどそれは、最早無駄な足掻きに過ぎなかった。
高杉は、左目に刺したであろう刃物を後ろに投げ捨て、左頬を流れる血を掬うように撫でる。
楽しいと、彼は感じてるのだろう。己の手で狂楽の渦に引きずり降ろされている様が、面白くて、愛おしくてたまらない。
自分を受け入れさせるため、一人の女に過ぎない俺を狂わせるための愛撫が楽しくて仕方がないことを。
「くくくっ・・・・いい姿だぜ、希美。」
隻眼の男は、飢えた獣のように眼光を鋭くさせ、嬉しそうに狂気を孕んで口元を引きつらせていた。
そして覆い被さるように高杉は俺の右眼に映り込む。
痛みで何もできない俺をよそに、高杉は言葉を紡ぎ出していく。
「壊れた物は元には戻らねェ・・・それが自然の摂理なんだろ?幾らお前が鬼の副長と一緒に居ても、共に笑ってても、お前の奥底にある『獣』は止められねェよ。血に飢えてるなら尚更な」
左目が触れられる感触が伝わる。これはきっと、高杉の手だ。
「こうでもしなけりゃ希美は戻って来ねェだろ?お前の『獣』を止められるのは俺だけだ。他の誰でもねぇ、この俺だ」
世界に絶望して、自分から命を絶とうとした時に現れたのは高杉だった。高杉が俺の手を掴んでいなければ、今の俺は存在しないだろう。
でも、蓋を開けてみれば違った。高杉晋助という男は、俺の傷を癒すどころかさらに傷口を広げた。
「違う・・・・お前は・・・・俺を、壊して・・・───」
「何言ってんだよ。
元からお前は、壊れてるだろ?」
高杉の唇が近づいてくるのを感じる。
受け入れてしまえば、戻って来れないと感じた。俺は失いたくない、俺は手離したくない。
お願いだ、これ以上、俺の大切な物を────

第三十三話:暗夜に逃ぐ→←第三十一話:アルカロイド ※過激表現あり



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (6 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
3人がお気に入り
設定タグ:銀魂 , オリジナル   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:梨花 | 作者ホームページ:http  
作成日時:2020年8月3日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。