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第三十一話:アルカロイド ※過激表現あり ページ35

「てめぇ・・・・・・」
唸って、高杉を睨む。睨まれたところで、奴はそんな事で物怖じづけずに近づく。
「どうだ、希美。俺と一緒にいる気分は?」
「最悪極まりねぇに決まってるだろ・・・・・!」
俺は右足を踏み込んで、高杉の心臓部に向けて拳で殴り掛かる。それは、防衛本能。あるいは闘争本能か。いや、今はどちらでもいい。今ここで高杉をぶちのめしてしまえば。
「くくっ、やっぱりお前さんはそうするか────」
と、高杉は言う。
「─────けど、単純だぜ。希美」
高杉は拳を受け止めはせず、腕を掴み───彼自身の所に引き寄せた。
そして、顎を掴み上げて互いの唇を激しく重ねた。
「なっ──────!!!!」
あの甘ったるい匂いがやたらと濃く感じる、吐き気すら催す邪悪の様だった。俺は溺れそうになり、呻く。それでも高杉は無理矢理送り続けた。俺はただ空気が欲しくて、甘ったるい匂いを送り続けた。
それが耐えられずに、俺は奴の唇を噛んだ。
「っ・・・・!」
高杉は狼狽えて俺から離れる、その隙を見計らい高杉を突き飛ばした。
ぺっ、と血を吐く。それは血に混じって濃い桃色の液体もあった────俺はふと、思考を巡らす。濃い桃色の液体、それに味も甘く感じたような気が・・・まさか。
桃色の液体で、甘い味は────
「・・・・・・高杉っ!てめぇっ!!!!」
気付いた時は、もう遅かった。体の力が急に出なくなり、その場に座り込む。息も荒くなり、身体が火照るように熱い。身体の震えも止まらない。
そう、桃色の液体で、甘い味は────媚 薬だ。そもそも、その類は桃色の液体で甘い味と相場が決まっている。
あのバカ妹の知識がここで役立つなんて。
「・・・・あ、あぁ・・・・」
「・・・・っくくく・・・ははははっ・・・・やってくれるじゃねぇか・・・・寧ろその方が燃えるぜ・・・なぁ───春咲、希美ィ!」
高杉は近づくと、引きつった笑みを浮かべて俺の両手首を掴み自由を奪う。
「は、はな───・・・せ」
俺の叫びを、高杉は耳を貸さない。
「俺はお前に・・・憎しみが混ざった愛情で、俺を見てほしいんだよ。なのに、お前はあの鬼の副長と一緒の時はあんな楽しそうに、あんな笑顔で・・・・・」
ふと、高杉は俺の左目に触れる。
「な、何を・・・・する気だ」
「決まってるだろ────俺と同じ世界(・・・・・・)に引きずり込んでやる」
嗤いながら高杉は言った。


そして、世界が左半分、暗転する。

第三十二話:鮮血 ※過激表現あり→←第三十話:雨音と狂気



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設定タグ:銀魂 , オリジナル   
作品ジャンル:アニメ
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作者名:梨花 | 作者ホームページ:http  
作成日時:2020年8月3日 23時

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