検索窓
今日:3 hit、昨日:2 hit、合計:3,412 hit

第二十七話:Myosotis《ジェイシス視点》 ページ31

「お嬢様、気が付きましたか?」
「──────・・・ティナ・・・?」
気が付くと、私は鬼兵隊の船が停泊してある所から離れた空き家屋に居た。
どうやら外は夜になっていて、辺りがやけに静かだ。
目が覚めたばかりの私には、月明かりすら眩しく感じられた。幸い、ここにはティターニア以外誰もいない。
程なくして、ティターニアは口を開く。
「お嬢様、クロメア様の遺品は何とか回収に成功しました。遺品は全て書架の中に置いておきました」
「・・・・・・そうか」
感情のない私の返答に、ティターニアは困ったような表情を浮かべる。
「・・・・それと、お嬢様。少し重大な事が分かりまして・・・」
「・・・重大な事?」
私は顔を訝しめて言う。
「実は、クロメア様の部屋の中に・・・隠し部屋がありまして。どうやら、魔導回路が鍵らしくて・・・そこに入ったんですよ。そしたら───こんな本が」
そうして、ティターニアは一冊の本を大きめのリュックから取り出した。その本は、牛革・・・とは言い難く、まるで人の皮膚を貼り付けたような表紙の本であった。しかし、私には分かった。この本が、なんであるかを・・・・・
「・・・・・この本は、ネクロノミコンか?」
「ネクロノミコン・・・それって確か、クトゥルフ関係の・・・・!」
クトゥルフ神話────ハワード・フィリップス・ラヴクラフトよって創造された冒涜的で邪智的なる異形の神が記された神話。
普通の一般市民はクトゥルフ神話というのはTRPG上の絵空事と捉えられているが・・・私たちは、実際にそのクトゥルフ神話の神々と相対することがあった。
クトゥルフの神々に、友好的な神は滅多に居ない。それどころか、気まぐれで人を殺す神もいる。
それに、対処方法が異様に面倒でもある。
──────以前、鬼兵隊は666の死をもってして神格を呼び出そうとした。止めはできたものの、沢山の犠牲者を出してしまった。
そんな、邪悪な儀式を、彼等はまた行おうとしているのか?
「・・・・・・・・・ティナ、そのネクロノミコンを書架の中に入れといてくれ。そして───門外不出にしろ」
「・・・・・・かしこまりました!」
ティターニアは快く承諾した。
クロメアが遺した物を、無駄にさせないように。

第二十八話:琥珀糖の雨 ※微裏表現あり→←第二十六話:餞別の名残りを《ジェイシス視点》



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (6 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
3人がお気に入り
設定タグ:銀魂 , オリジナル   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:梨花 | 作者ホームページ:http  
作成日時:2020年8月3日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。