第四話:拡散された肉体《土方視点》 ページ4
事件が起きたのは、かぶき町で有名な易者である「夕霧一門」の長屋だった。俺は占いやオカルト等には興味など無く、今までは空想的なものだと思っていた。だか希美達の世界に来てからは超常現象を信じる余裕も出来た。だが未だに占いやオカルトには興味が無い。
俺と総悟は現場となった夕霧一門の長屋入る。
そして、七つの部品に分けられた夕霧の大先生らしき男のばらばら死体があった。
「・・・・これは」
「おーおー。こりゃ綺麗にバラされてらァ」
頭、胸部、左右腕、腰部、首、毛髪、左右脚部───ずたずたにされたそれらは、あまりにも凄惨であまりにも無残な形で部屋に散らばっていた。
そして部屋には沢山の化学薬品らしきものが置いてあり、机には一冊の古びた本があった。
「いかにも、って感じですねェ・・・ばらばら殺人たァ、まるで三文ミステリーでさァ。あのアバズレ暴君を連れて来なくて正解ですね土方さん｣
「あぁ・・・」
いつか、希美は言っていた。人が凄惨に死んでいるのを見ると、あの日を思い出すと。もしこの現場に彼女を連れて来たら、確実に錯乱していただろう。
「────周りに」俺は静かに、感情を押し殺した声で先に駆けつけていた部下に言う。「周りに魔法や魔術に関わっていた奴は居たか」
「魔術・・・それらしきに関わってたのは居ますが、流石にここまでのは・・・・」
そうか、と俺は言った。
「けど、易者の一門って事は・・・犯人は
「あるいは・・・こいつも巻き込まれたとか」
希美は言っていた、魔術や魔法とかは人知だけじゃなく人道すら超える。生半可に手を出してしまえば────死ぬという、対価を支払われる。
「総悟、お前は関係者に聞き込みをしてろ。俺は希美にこの事件が魔術性があるか聞いてみる」
「分かりやしたよ。あとついでにアバズレ暴君にこう伝えてくだせぇ───「あんまり新米を巻き込むな」ってよ」
「あぁ、わかった。」
科学は自然を犠牲に、魔術は人道を犠牲にした。
俺もお前も、その犠牲者か。
俺はそんな戯言を心の中で呟いた。
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