The theater:This is tragedy END You've fallen 《優里菜サイド》 ページ23
こんな夢を見た。
私が、抱かれる夢を。
私の意思とは関係なく、額を、瞼を、項を、乳房を、指を、腰を、舌で舐め上げられ、甘く甘く噛まれる。
ひとつずつ銀にぃに鍵をかけられ閉じ込められていく私の身体。
けど、その瞳は、壊れていた。
光も、闇も感じない。
そこにあるのは、ただの虚無。
壊れた人間の、瞳をしていた。
そして、首筋をぺろりと舐めると。
がぶり、と獲物を喰らう様に噛みつく。
怒ってもない、悲しんでもない。
ただただ無心で、私を喰らう。
「・・・・痛ぇか？優里菜」
銀にぃは、嬉しそうに顔を綻ばせる。
どうしてこうなったのか、どうしてこんな状況になったのかを、聞きたかった。
けど、声が出ない。掠れた息の声が、零れるだけだった。
「・・・・・・・優里菜。お前は俺の味方で、居てくれるよな｣
頬に、銀にぃの手が触れる。
温かくて───冷たい。
心の温度が、無くなったように冷たい。
犬歯が肌を突き破り、血が流れ出る。
それを、美味そうに啜る。
口元が、血で真っ赤だ。
まるで、鬼だ。
血肉を喰らう、純白の夜叉だ。
されるがままに、ぼやけた視界で、風にたなびく遮光カーテンを眺める。
そこに光が差し込むと、銀にぃが映し出される。
恍惚な表情で私を喰べる、銀にぃを。
「・・・・・なぁ、優里菜。何か言ってくれよ」
優里菜、優里菜。
私の気持ちを置いて、銀にぃは呟く。
そして、銀にぃは。
何をするか決まってるように。
全部知ってるように。
機械のように。
当たり前のように。
確認するように。
血なまぐさい、接吻をした。
私は、夢を見た。
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