第十九話:最悪な再会 ページ22
「これが・・・・問題の目ん玉か?」
呟く俺をよそに、ジェイシスはホルマリン漬けされた青色の目が入った瓶に触れる。
「秘匿の悪魔:ヴァサゴよ。我が脳裏に過去の記憶を映したまえ・・・・」
そう言うと、瓶の中から淡い光が意志を持ったかのように動き、ジェイシスの額に吸い込まれる。
「・・・・何か、わかったか?」
九兵衛がジェイシスにそう言うが、ジェイシスは未だ瓶に触れたまま、それどころか微かに震えている。
「・・・・・・・やはり、か」
「やはり、と言うと」
「・・・・・・・・この
「っ!!!!」
その場に居た奴等は、全員絶句した。ジェイシス曰く、友人であるサルバドール家の次男───クロメア・サルバドールは風見の魔眼と言うのを持っていて嘘を見抜く程度だが、時として魔力の流れを感じる事も可能だと。
「・・・・・・それに、魔眼が有する魔力は強大であるんだ。例え保持してる者が居なくて、その場に置いていても何かしらの異常はもたらされる」
今回の場合も、恐らくそれだ。と、ジェイシスは言った。
幾ら、サルバドール家が攘夷志士と絡んでたとは言えどこのような事は酷すぎる。
報復なのか、あるいはもっと別のなにかか。それに、何故無関係な柳生家が巻き込まれたのか。
謎は深まるばかりだ・・・。
「この瓶、私が預かってていいか」
ジェイシスは振り向かずに九兵衛に問う。
九兵衛は「勿論」と承諾した。それと同時にジェイシスは瓶を持ち、性急に蔵から出ようとする。
「お、おい!ジェイシス!どこに行こうとしてるんだ」
「・・・・・・私は、やるべき事が出来た。すまないが、根を張った回路の処理を優里菜に任せたいがいいか?」
「えっ!?あ、うん!」
優里菜は頷いた。
しかし、俺はジェイシスの方を見て尋ねた。
「・・・・・らしくないな。お前が感情で動くなんて」
普段の彼女は理性的で、感情で動く事は滅多にない。だが、今のジェイシスは────確実に怒っている。
怒りに支配されている。
その俺の言葉に、ジェイシス言った。
「・・・・・To be, or not to be, that is the question.」
その意味は、俺には分からなかった
The theater:This is tragedy END You've fallen 《優里菜サイド》→←第十八話:迎撃開始
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