第十四話:麗人の女史 ページ17
午後になって、専門家が来た。
その女性は、とても凛々しく美しい風貌をしている。
「呼んだか、希美」
「あぁ、呼んだぜ」
「あの・・・この人は?」
耐えが銀髪の女史の方を見て問いかける。
「あぁ、お嬢達は初めてだよな。アルヴェイダ・ジェイシス、魔術関連にはとっても詳しい専門家だ」
「貴公らの事は全て聞いてる。よろしく頼むぞ。所で優里菜、あの怠惰な剣士は何処にいるのだ?」
「銀にぃはぐーちゃんとわんわんおの散歩なう」
「犬の散歩か・・」
俺と年の変わらぬ声で、ソファの手すりに座る。
「それで、貴公の自宅で異常気象が発生しているのだよな。」
「あぁ、そうだ」
「・・・・これまで、死人は?」
「出てはいない、けが人はたまに出るぐらいで済む。ただ・・・」
「ただ?」
ジェイシスは九兵衛の方を見る。
「・・・門下生が、口を揃えて言うのだ。黒い犬みたいなのが、襲いかかってきたと──」
「黒い・・・犬、だと?」
ジェイシスの目付きが変わった。ジェイシスの目付きが鋭くなるのは、自分が興味を示す専門分野───つまり、降霊術系の魔術絡みの時にしかならない。
「あぁ・・・まるで、電気を帯びた犬の様なものを見たと」
「・・・・・突風や落雷に黒い犬・・・・では、最後の質問だ。貴公の自宅に送られたモノの特徴を教えて欲しい」
「それが・・・・・
「青の瞳だと?それをどうした」
「あまりにも気味が悪くて・・・蔵にしまっている。父上は処分して欲しいと言ってたが、宛先も分からぬものを無闇に処分するのもいけないと思ってな・・」
・・・・・ち、とジェイシスは舌打ちをうつ。不機嫌なのかは分からない、ただこれだけは分かる。
何故早く伝えなかった、何故早く相談しなかったという苛立ちから来てるものだろうと。
「ジェイシスさん・・・何とかなります──」
「何とかなるんじゃあない、何とかするんだ」
ジェイシスはがばっ、と立ち上がる。
「柳生、と言ったな。貴公の自宅に案内しろ。そして、希美と優里菜も着いてこい。拒否権はない」
「・・・はいはい」
「あいあいさー!」
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