短編:私を忘れないで（�掘� ページ34
｢え・・・・・ば、万斉さっ───｣
｢桔梗。拙者は、主の事が好きだ・・・・異界の者に惚れるなど、ましてや鬼兵隊と相対する者を好くなど・・・拙者は真に落ちぶれてしまったな・・・｣
｢な、なんで・・・・そんな事───｣
息がつまる。
感情が、ろうそくの火みたいに揺らめいている。
万斉さんは呼吸を整える。
覚悟を決め、恋慕を抱いてしまった己と訣別をする為に。
｢もしかすると、桔梗の事を忘れるかもしれぬ。忘れなかったとしても、この想いを歪められてしまう・・・だが────桔梗が拙者の事を忘れなければ、それで良い。それで良いのだ・・・｣
溢れていた生暖かい涙に、暖かさが戻る。
私が好きだから。
私を好きでいたいから。
私を、愛したかったから───。
万斉さんなりの、後悔と愛情を感じでしまう。
・・・友達を傷つけた人に、そんな感情を抱いてしまう私もどうかしてる。
でも、何故か、許してしまいそうな、感情を抱く。
万斉さんが私から離れると、右手にはめていたシルバーリングを抜きとる。
｢桔梗｣
ただ一言呟いて、私の左手をふわりと持ち上げる。
サングラスから見える黄金の瞳は、弱りきっていた。
｢もし、また巡り会えるなら。もう一度、桔梗の歌を───拙者に、聞かせて貰えぬか？｣
私は溢れ出る感情を堪え、最愛の人殺しを見つめる。
｢主の音を、また聞きたい。これは、それまでの契りの証でござる｣
そういい人殺しは、私の薬指にシルバーリングをはめ、手の甲に接吻を落す。
滲む視界の中で、見えた手首には桔梗の花を象った銀のブレスレット。いつだったか、私が彼に送ったプレゼントだ。
嗚呼────ずっと、付けていたんだ。少しだけ、嬉しい気持ちになった。
｢・・・・・万斉、さん。また、逢えますよね？｣
私は呟いて。
｢あぁ・・・・また会えるとでも言っておくでござる｣
万斉さんは頷いた。
堪えきれず、私はぼろぼろと涙が溢れ出てしまう。
子どもように泣きじゃくって、胸がいたい。
はじめて、誰かを好きになった────でもそれは、真実を知って、壊れてしまった哀しい物語。
人魚姫のような悲しい恋ではない。
ロミオとジュリエットのような悲劇の恋でもない。
決して結ばれてはいけない───禁断の恋をしてしまった。
｢もう、行かねば｣───人殺しは言う。
｢もう、行くんですね｣───私は言った。
｢達者でな、桔梗｣───人殺しは言って、去っていった。
───こうして、私の、禁断の恋は、終わりを告げた。
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神埼梨花(プロフ) - riiuさん» 色々ごちゃまぜ(´°Д°｀) (2019年11月15日 22時) (
レス) id: a74ed67423 (このIDを非表示/違反報告)
riiu(プロフ) - 優里菜ちゃんに聞くんか…嫌な予感しかしませんね本当にありがとうございました（） (2019年11月15日 22時) (レス) id: d32ce14729 (このIDを非表示/違反報告)
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