七月のペイルブルー（�供� ページ8
こうして沖田と生粋のお嬢さまである氷室はホテルに向かう。彼女がお嬢さまというのもあってか、やや高めのビジネスホテルだった。
沖田は真っ先にバスルームに向かう。勿論、彼女に風邪を引かせるわけにもいかない。
少し気は引けるが、一緒に入るしかない。
故に彼は服を脱いだ──────が彼女は目を両手で覆うようにしている。
「・・・・・おい、お嬢さま。なにやってんでィ」
「あっ、どうかなさいましたか？」
「どうかなさいましたか、じゃねェだろ。
取り敢えずこっち来い。一応言っときやすが、俺はアンタみてェな世間知らずなお嬢さまには興味ねェよ」
氷室は沖田から徐々に距離をとっている。
上半分の服を脱いだ沖田に圧倒されたのか、それとも羞恥心からなのかは分からない。
恥ずかしがるのはわかる。だが濡れたままでいて、風邪を引かれたら困る。
「まぁ、アンタの気持ちはわからんでもねェ。だが濡れたままだとアンタ的にも不都合なんじゃねェのか？」
「で、ですが・・・・そ、その・・・単刀直入に言って・・・異性に私を見せる行為が・・・破廉恥極まりないのです・・！｣
｢破廉恥もクソもねーだろ、この場合は。
・・・・それともなんでィ。俺に服を脱がされたいんですかィ？｣
傍から見れば誘ってるともとれる発言。しかし彼女にとっては───少しだけ恥辱的な気持ちにさせる発言だった。
｢は、はいっ!?!?い、いや、その・・・！｣
｢へぇ・・・ラフィアお嬢サマは、見かけによらず破廉恥なんだねェ。だったらお望み通り俺が脱がして───｣
｢あわわわっ！ぬ、脱ぎます！大人しく服を脱ぎますわ！｣
じりじりと氷室を壁際まで追い詰めて、遂には彼女の退路を塞いでしまった。
鼻と鼻が着きそうな程沖田の顔は近くて、思わず氷室はそっぽ向いてしまった。
｢・・・だったら俺が十秒数える間に目を開けろ。でなきゃとアンタを喰ってやる｣
｢喰ってやるですって・・・!?なんて野蛮なの・・・!!!!あ、あと、なんだか顔が近い───｣
｢じゅーう、きゅーう──｣
｢ひゃぁぁぁ・・・！わ、分かりました！分かりましたわ!!!!｣
そういい彼女は両手を外し、ゆっくりと目を開く。
宝石のような空色の瞳に、思わず吸い込まれそうだった。
｢お、沖田・・・・君？｣
｢────はっ、なんつー顔してるんだよ。まさか本気でアンタを喰うと思ったのかよ。冗談に決まってるだろ、バーカ｣
｢な、なんて酷い人・・！｣
｢サディストってのは、そんなもんでさァ。おじょーさま｣
終わったあとの話（高杉×希美）→←七月のペイルブルー（沖田×ラフィア）
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