【企画小説】夢幻の如く【リレー小説】 (ページ7)

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7:敵前逃亡ページ7

《知識の天使》

　青い空、白い雲……。

　どこかの書物で読んだことがあるが、ここが下界という場所なのか……。

　どこかまだ頭がぼんやりとしている。つい先程まで一緒にいたはずの主様や同僚達とは、下界に転がり落ちた時にはぐれてしまったらしい。

　ああ、大変なことになったな……。これからどうしようか。主様は無事だろうか。どこにいるのだろうか。同僚達は……。

　ぐるぐると混乱する頭を整理しながら、ゆっくりと立ち上がる。何はともあれまずは情報を集めてみよう。誰か見つかるかもしれない。もしかしたら、祠のことも。

　周囲を見渡してみる。村からは離れた森の中らしく、辺りはとても静かだ。

　……と、僅かに何かの気配を感じる。

「誰です」

　茂みの陰から現れたのは、人ではなく……妖。しかも、たくさん。

「このタイミングで……」

　目を細め、妖のランクを判断する。D……いや、Cだろうか。

　どちらにしろ、私に戦闘能力はほとんどない。普段なら前線で戦う同僚を後ろからサポートすることで貢献しているが、その同僚がいないのだ。

　ぐるりと私を取り囲んだ妖達は、ゆっくりと私に近づいてくる。

　そして……一斉に、襲い掛かって来た。

　主様のためにも、私がここで倒れるわけにはいかない。私は妖達に手をかざし、叫んだ。

「【混乱】！」

　途端に妖達は本来の目的が分からなくなったらしく、ギャアギャアと耳障りな叫び声をあげながらフラフラとし始めた。

　私は妖の間を縫い、一目散に……逃げた。

「……ああ、なんて情けない天使」