杉山夫婦になる前の日常 * (ページ5)

今日:8 hit、昨日:1 hit、合計:69,812 hit

- 恋の自覚 * ページ5

『ヘタリアって……本当にこんな少人数で撮ってるんですね…』

杉「当番回り…みたいな感じなので…」

萃の初のヘタリア現場は杉山とペアだった
その他には高橋、浪川も居るはずだが予定が合わず別撮りとなったんだとか

『いつもなんですか？』

杉「八割型自分が喋っても言葉は返ってこないですね」

『なんか……切ないですね…』

そんな会話をする2人の周りを漂うのは哀愁
スタッフは小さな声で「は…始めますよー……」と声を掛ければお互いにエンジンが掛かったように立ち上がる

杉山が不意に覗き込んだ萃には自分と同じかそれ以上の書き込みが、それを見た時に杉山は何故か心躍るものと胸の締めつけを感じた

杉「…………………あれ」

『杉山さん？どうかしましたか？お水飲みますか？』

動きを止めてしまった杉山を不安げに萃は覗き込む「大丈夫です」と急いで笑顔を作って否定すれば『無理しないでくださいね』と控えめな笑顔が返ってきた

そして『お願いします』と先にブースへ入っていく萃を追うようにブースへと足を運ぶ
スタッフを除けば2人きりのそこに杉山は息を飲んだ

「こんな感覚、久しぶりだ」そう心の中で呟く、真剣に仕事に取り組む萃の姿に気を取られながら声を当てていく

時折見せる萃の笑顔にすら目を奪われる

「あの時から恋は始まってたのか」と心の中で呟く時には収録は終わっていた

『杉山さんお疲れなんですね、はい』

収録終わり、帰り間際に杉山へ萃は小さな飴玉を手渡した、そして『お疲れ様でした』と頭を下げスタジオを出ていく

杉「た、鷹野さん！鞄忘れてますよ！」

その声と共に杉山は全力で走り出す、ちなみにこの数日後、この立場が逆転して萃が走る事になるのは別の話である