杉山夫婦になる前の日常 * (ページ3)

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- 出会い * ページ3

当日、前の現場が押してしまいタクシーから降りれば駆け足で会議室へと向かう
『初めて顔を出す現場では新人も同然』という萃の軸となっている言葉は自身の仕事が増え始めた時に決めたものだった

『遅くなりま…っあれ、あかな……あれ』

ドアノブへ手をかけ扉を引く、だが開く気配はなく萃は1人でパニックを起こし始める
一旦深呼吸と手を離せば扉が開かれる、萃から見て「扉を押す形」で

『あれ……逆…………………？』

「流石生きる天然記念物だね、お嬢」

『小野坂兄さん……！』

久しぶりの再会に手を取って何故かお互いにクルクルと回り出す、その様子に周りは笑い出す
騒ぐ2人を他所に安元はその様子を写真に撮り始める

その時、こちらも前の現場が押したのか駆け込んできた「遅れてすみません…」と息も絶え絶えにつぶやくその人に声を掛けたのは小野坂だった

小「杉山くん杉山くん、今回から入るここでは新入りの鷹野萃、まあ俺の妹分ってところだから仲良くしてね」

小野坂の言葉に『この人が杉山さん…』と心の中で呟きながら萃は小野坂から手を離し杉山へと近づく
そして自ら手を差し出せば『鷹野萃です、よろしくお願いします』と自然な笑みを浮かべた

小「あれ？杉山くん固まっちゃった？」

杉「え、あ、杉山紀彰です…よろしくお願いします」

小野坂の言葉があるまで綺麗に固まったかのように萃を見つめ動かなくなる、それを見た小野坂は杉山の前で手をひらひらとさせた

萃と握手を交わせば杉山は視線を逸らす

小「あの2人……………今後何かあるよ」

安「ヤング、近いから」

そんな2人のやり取りを他所に小野坂は瞬時に安元の隣へとぴったり張り付く
安元の素早いツッコミに萃はまた笑う、その横顔を杉山は見つめていたんだとか