杉山夫婦になる前の日常 * (ページ15)

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- 前夜 * ページ15

“ 「2人きりってことはそれ、デートですね」 ”

安元にそう言われてから萃の頭の中はその言葉がぐるぐると回っていた
わけも分からずWikipediaでデートという単語を調べてみたりした

『デートとは…日付や場所、時間を定めて恋人または異性の友達と会うこと…………………』

そう呟いては軽く首を振る、照れくささと期待、そして不安
それが入り交じり変な気分になり始める

好きなのは確かだ、でも自分の年齢を考えるとそう簡単にいくものではないというのも分かっている
杉山の気持ちがどうかなんてエスパーではないので分からない

『で……でも、おしゃれするくらいは許されるよね、うん、許される』

独り言のように繰り返し拳を握ればいざクローゼットへ、何を着ていこうか、そう考えるだけで胸が高鳴るのは恋の力というものだ

一方その頃、杉山も服を目の前に仁王立ち
「鷹野さんは綺麗な人だからそれなりの格好をしなければ」とこちらも意気込んでいた

服から小物までこうして真面目に考えるのはイベント以外ではあまりなく、久しぶりの感覚に小さく唸り声をあげる

杉「……鷹野さんはどういうのが好みなんだろう」

その独り言は時計の秒針の音に飲み込まれ杉山は小さく首を振る
杉山も萃と同じ様に年齢の事も考えていた、でも好きな気持ちの方が勝る

杉「…いきなり結婚を前提には重いかな」

そう呟いてしゃがみこむ、演技ではない素の自分での“ 愛の言葉 ”それを考えるのにも胸が、頭がいっぱいいっぱいだった