杉山夫婦になる前の日常 * (ページ12)

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- 炭酸水 * ページ12

杉「それ、好きなんですね」

杉山がそう言葉をかける萃の手にはペットボトルに入った炭酸水が
杉山が見る時は大抵それを飲んでいて「鷹野さんが飲んでいるのなら」と挑戦してみたが無味のそれは杉山の口には合わなかった

『これね、味が無いんです、それが好きなんですよ、ほら気持ちをリセットしたい時とかこうして仕事の変わり目とかに飲むと自分がスッキリするんです』

萃の言葉に納得したように頷く、まさかそんな意味があったとも知らず杉山は「また飲んでみよう」と心の中で呟いたつもりだった

『杉山さんも飲むんですか…？』

杉「えっ、声に出てました…か？」

萃の耳には完璧に届いていたのか『はいっ』と満面の笑みを浮かべる、恥ずかしさとその笑顔に杉山は顔を赤くする

『でも、杉山さんも飲むなんて嬉しいです、なんか一緒って嬉しいですよね』

杉「え、えぇ、あ、はい…嬉しい、です」

杉山が更に顔を赤くすれば萃は一気に顔を赤らめる、そしてまたいつものように『えっと、変な意味じゃないんです！』と必死に弁解を始める

それを見た杉山は自らの顔も赤いのに萃へ顔を近づけ「あまり否定されると何だか悲しくなりますから」と小声で呟く

『ご、ごめんなさい……？』

杉「あ、いえ、僕も…なんかその、すみません…」

小「えーっと、ごめん…俺邪魔だった？」

そこに遅れてやってきた小野坂はどこから見ていたか分からないが顔の赤い杉山、萃を交互に見つめて意地の悪い笑みを浮かべている

『じ、邪魔じゃないです！小野坂兄さん！居てください！私飲み物買ってきますから！』

それだけ言い残し萃は走り去る、真っ赤な顔のまま財布を片手に
その場に残されたのは杉山、小野坂、そして小野坂と同じ時にやってきたスタッフ

そしてこの場にあったら中に入れなくなるであろう萃の入館証

杉「鷹野さん！これ忘れたらここは入れませんよ！」