スグリくん、あなたが望むなら。II

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ハルトは相性がいいな。
何せ彼は水タイプのポケモンをよく使うから。

手持ちに入っているだけでもヘイラッシャ、シャリタツ、ウェーニバルと半分は水タイプだ。

両方の攻撃力は上がってしまうから、これは耐久力がみものである。シャリタツがヘイラッシャの口の中に入ることで能力値を二段階あげる。その代わりにポケモンの交代ができない。


これ、ヘイラッシャが一歩有利だ。
雨天候攻撃力1.5倍の能力値2段階上昇だ。


「ッチ、水タイプ使い...」



ーーーー
ーーー



初手はハルトが有利だった。
しかしヘイラッシャを持って行かれた後はハルトの攻撃テンポが崩れた。とつげきチョッキ持ちのカミツオロチと、オボンの実持ちのガオガエン、なんとかカミツオロチを持っていけたが、最後の勝敗はオボンの実の回復量差で負けてしまった。


▼ポケモントレーナーの ハルトは
勝負に 負けた！



ラスト一体の、キラフロルをボールにしまって
モンスターボールを眺めるハルト。


ハルトが私以外に負けるところ、初めて見た。
いつだって飄々と、どこか余裕そうな雰囲気のある彼だけに
今どんな気持ちかが想像できなかった。
私はハルトを黙って見守るしかない。


「なんだ...こんなもんか、パルデアチャンピオン」


スグリがそう呟いた。
正直実力に差はなかったと思う。
ほんの少しの運と、タイミングだけだった。

ハルトはスグリの方を向くと少しだけ瞼を閉じて
ふう、と息をした。



「は、ははは、っあはははは！...はー、たのしかった」

『！？』


しばらく黙っていたハルトが高らかにそう言った。
そしてスグリにこう話しかける。


「いやー、スグリくん強かったわ。
嫌がる技の選択してたんだけどなー。ソクノのみとかさー、たつじんのおびとか、割とダメージ軽減に振った持ち物持たせてたんだね。俺って結構、攻撃型だからそう言う戦いもあるんだね。いい試合だった。」


ハルトがスグリに手を差し出した。
ハルトの可愛らしいツインテールをスグリはちらりと目で追って、納得いってなさそうな気色を見せつつも2人は緩めの握手をした。


「ていうか試合の中で相手の持ち物見抜くのもすごいけどねぃ」

『ハルトは本当によく見てますよ。数学得意ですし、計算早いのでダメージ管理してます。そう言うの見逃しませんから。』

「おそろしいねぃ」


ハルトはこちらに駆け寄ってくるとだめだったわ、と
笑顔を見せた。


『でも実力はほぼ僅差だったね』

「負けは負けだからな」

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