スグリくん、あなたが望むなら。II

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「つーか結局Aもいくのかよ」


ブルーベリー学園に行く道中で
ハルトが頭で腕を組みながら不満そうに呟いた。
少しだけ色落ちしたピンクのツインテールを横目にして
わたしは力無く微笑む。


少し前に、クラベル先生から電話が入り
手筈通りに私たちはイッシュ地方に向かった。


『ゼイユが来てってうるさいし...まだ仲直りできてないしね...』

「あースグリくんだっけ。ほっときゃいいのに。」

『そうも行かないよ。謝らなきゃいけないことも謝ってもらわなきゃいけないことたくさんあるんだから』


くわっ、と欠伸をしたハルトが頬杖をついた。
双子の片割れだというのに私たちの性格は似ていない。
傲岸不遜な性格のハルトと、協調性の塊のような私。
似ているのは顔とバトルセンスくらいだと思う。


「...ま、俺には関係ねーけどっ...と、見えてきた見えてきた。まじで海の中にあんじゃん！」


ハルトが客室の窓から外を覗き込んだ。
楽しそうな声音が耳に届いてきてこれからの留学生活に少しだけ思いを馳せて楽しみな気持ちになってくる。


『ていうかハルト』

「あんだよ」

『問題だけは絶っっっ対起こさないでよ？』

「はいはい、わかってますよ」

『グレープアカデミーのときもそう言って問題起こしてたよね？』

「たとえば？」

『宝探し初日にグルーシャぶっ倒しに行ったり、スター団壊滅させたり...』

「なんだっけスターダスト(笑)大作戦？」


そうなのだ。
この片割れは歩けば問題しか起こさない。
加えて好戦的で敵を作りやすい性格から彼のヘイターは後を絶たない。


しかし謎のカリスマ性もあるから好き嫌いがはっきり出るタイプである。昔から私の気苦労は数知れないのだ。


『(スグリを初めて見た時の親しみやすさって絶対姉弟で苦労してる者同士だからだわ...)』

「さて着いたよ」


引率のシアノ先生の声がした。
私たちは連れ立ってイッシュの地に足を踏み入れた。


さあ、今日からここが私たちの通う学園だ。


「やべーでっけー！ワクワク止まんねえんだけど！」


まるで美少女のような出立ちなのに、
その口から出る乱暴な口調のギャップにぷっと吹き出した。


『あんまり走ると危ないよ、ハルト』

「なあ、可愛い子いるかな？」

『ばか、何しに来たの』


ハルトの軽口にツッコミを入れて目を細めた。
ここに、スグリもいるんだよね...

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