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昼休み。お弁当を食べ終えた私は一人図書室へ来た。ここは静かで好きだった。学校の中でも呪霊は教室によく出現する。思い出されることも少ないためか、図書室に呪霊は比較的出現しなかった。読みたかった本に手を伸ばす。随分高いところにあって、目一杯背伸びをした。ぷるぷると震える指先にほんの背表紙が触れるけれど掴み取ることができない。ぐっと更に足先に力を入れたときだった。
「これか?」
取りたかった本は別の人間の手に渡った。そっとその手の主を辿る。後ろに立っていたのは朝、私に挨拶をした彼だった。
「ふ、しぐろくん、」
「ん」
ぶっきらぼうに私に本を手渡す。「ありがとう」とすんなりと御礼の言葉は口から滑り降りた。
「どうして、伏黒くんが?」
「お前に伝えとくことがあって、教室だとあれだから……」
私から目をそらした彼は尻すぼみにそう言った。
「……伝えとくこと?」
「この前会った五条さんっているだろ」
「ああ、伏黒くんの後見人さん?」
「その言い方やめろ。まあいいや、本当は今日五条さんと俺で任務に行く予定だったんだが、Aも来れたら来いって。五条さんから」
そう言いながら彼は自分のポケットから携帯を取り出す。携帯をいじり五条さんからのメールを開いて私にその画面を見せた。内容は伏黒くんの言っていたとおりだった。
「任務?私が?」
「多分、お前の術式が見たいんだろ。予定あるか、今日」
あいにく自分は部活もやっていない。放課後はただ家に帰るだけだった。
「大丈夫、だと思う」
「……そうか。じゃ、放課後。……また声かける」
そう言って伏黒くんは図書室から出ていった。私は彼から渡された本を抱えたまま少しの間立ち尽くしていた。
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雛形(プロフ) - hiyoriさん» hiyoriさんコメントありがとうございます!凄いと言っていただけて本当に嬉しいです…!私の場合小説を作る時はテーマを決めて大体のプロットを立ててから書き始めています。1話1話はそれに沿うように勢いで書いて推敲して、というような感じですね! (2022年10月3日 8時) (レス) id: 75869cdb85 (このIDを非表示/違反報告)
hiyori - 凄いです😭 どうやって小説は作るんですか? (2022年10月2日 22時) (レス) @page5 id: 3185205e6c (このIDを非表示/違反報告)
雛形(プロフ) - アキさん» アキさんコメントありがとうございます!他の小説も読んでいただいた上にさらにコメントまで!本当にありがとうございます!嬉しすぎて転げ回ってしまいます…!不定期更新になりますがこれからも頑張りますね! (2022年9月30日 1時) (レス) @page29 id: 75869cdb85 (このIDを非表示/違反報告)
アキ(プロフ) - 主様の書く小説どれもドストライクすぎます😭💕💕 (2022年9月23日 1時) (レス) id: 011262e667 (このIDを非表示/違反報告)
雛形(プロフ) - 春雪さん» コメントありがとうございます。見直したのですが名前変換できない部分が分からず、念の為更新したのですが現在も変換出来ない様でしたらどの文章の所か教えて頂けますでしょうか…?本当に申し訳ありません💦 (2022年7月24日 23時) (レス) @page9 id: 75869cdb85 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雛形 | 作成日時:2022年1月26日 19時